DVD特典映像「メテオさんミュージッククリップ」は語る

 DVDの第10巻には、特典映像として、「メテオさんミュージッククリップ」が含まれています。「コメットさん☆ミュージッククリップ」同様、新作の映像部分があり、その部分と前後の部分には、コメットさん☆ほどには重大な示唆、というようなものはありませんが、いくつかの注目すべきポイントがあるのは事実です。それらを中心に見て、少々の考察を試みたいと思います。


1.生まれて間もないメテオさん

 生まれて間もないメテオさんが、女王の腕に抱かれています。そして手で、星の子をつかもうとしますね。このしぐさは、普段のメテオさんのイメージとはことなり、とてもかわいいです。また女王も、穏やかな顔で、そんな娘のしぐさを見つめています。

 ですが、ここでの示唆は、「父がいない」ということに他なりません。つまりメテオさんは、片親なのですね。

 理由としては、女王と離婚したということと、父がメテオさんが生まれる前に死去したということの、2通りが考えられますが、前者は作品のイメージ的なものと、対象年齢層からして、やや考えにくいかと思います。とすれば、おそらく理由は後者でしょう。この父がいないということが、メテオさんの人格形成上、重大な影響を及ぼしているように思えます。


2.いたずらな幼少時代

 メテオさんのいたずらは、もう幼児の頃からなのですね(笑)。カスタネット星国の帆船の、高いマストに上がって、星の子を捕まえようとし、すべって落ちるものの、ムークがそれをちゃんと受け止めてくれる。ムークの、姫さまに対する愛情を感じます。

 ところが、メテオさんは、バトンを出すと、自らの帆船に向かって、星力ビームを発射して、帆船を全壊させてしまいます。そしてムークとともに、女王さまに「おしおき」されたようです。…でも、女王の怒りは、船を壊したことにではないようですね。それよりも星力の正しい使い方を、叱りつけてでも教えなければならない…。そんな厳しい教育性を感じさせます。たぶん、「お尻ペンペン」くらいはされたでしょうか(笑)。…静かに言って聞かせた方がいいような気がしますよ、女王さま。それがあとあと…。


3.女王の健康志向

 女王は何かにつけて、「赤い液体」を飲んでいます。ちびりちびりやるところからすると、「赤ワイン」でしょうか。もっともアセロラドリンクとか、プルーンエキスなども考えられますが…。いずれにせよ、ポリフェノールの多量に含まれているものを、飲んでいるのだと考えらますね。すると、女王は健康にかなり気を使っているのではないかと思えます。

 つまりメテオさんの父が死去してしまったことに関連し、自分は娘であるメテオさんのことを思っても、長生きしなければいけないという想いが、女王にはあるのではないでしょうか。破天荒に見える女王ですが、実は娘であるメテオさんを、かなり心配しており、また愛しているということのあらわれのような気がします。娘があとを継げるようになるまでは、なんとしても元気でいようという、想いのあらわれなのでしょう。


4.メテオさんのいろいろな横顔

 続いて、メテオさんの優しげなカット、好奇心旺盛なカット、ドレスのモデルを演じるカット、魔女の格好をするカット、バレエのチュチュを着たカット、バイクを追って釈迦堂切り通しまで行くカットが映ります。

 優しそうなカットについては、特に言うことはありませんね(笑)。本当は優しい人なんだと思いますけどね…。

 ドレスのモデルのカットは、やはりメテオさんという人が、「人に見られることを常に意識している」のではないかと思わせます。つまり、自分をショーアップする手段を心得ている…。時にそれは見る側にとって、煙たいときもあるかもしれないが、強烈な個性の主張である…ということですね。これは魔女の格好(これはコメットさん☆にさせられたのでしたが…)、バレエのレオタードとチュチュ姿にも共通するでしょう。人と同じはイヤ、というメテオさんらしい主張です。

 しかし一方、案外脇が甘いようなところも、メテオさんの魅力ではあるかもしれません。例えばバレエの衣装のカット。位置からして、しっかりお尻をツヨシくんに見られています(笑)。

 まあツヨシくんも小さい子ですし、レオタード着ているので、別に見られてどうということはありませんが、ちょっと心配なのは、カロンくん操るバイク男のバイクに同乗して、釈迦堂切り通しへ…。ダメだよ、メテオさん。そんな昼なお暗いようなところに行っては…。


5.ムークさんの家族と生活

 星国の大広間のようなところに、タンスとテレビが置かれて、ちゃぶ台で皆集まっているムークさんの家族の様子が映ります。はじめて明かされるムークさんの秘密…。ムークさんの系統の星人は、みんなああいう姿なんですね。それで娘が二人いると…。奥さんは美人なのかどうなのかわかりませんが(笑)、家庭的な人のようです。ちゃぶ台の上のみかんが泣かせますね。

 ムークさんの地球出発の様子が映りますが、あれが「ジゴク」のはじまりだったわけですね(笑)。ムークさんの暮らしていたところは、案外日本的な風景なのが笑えます。垂れ幕に富士山と波(なんか鎌倉のおみやげ屋さんで売っていそう…)の柄とか。ちゃぶ台やタンスもそうです。


6.星国ドレスの「低学年」メテオさんとムークさん

 星国にいたときには、コメットさん☆より活動的だった様子のメテオさん。ドレスはコメットさん☆同様、幼少期と最近(と言っても換算12歳くらいのとき)とで、特にデザイン的な変化はありません。同じデザインのドレス、何着も持っているんでしょう(笑)。

 ここでの示唆は、メテオさん、本当にムークさんのことが好きなんですね。抱きしめ具合などを見ていると、そう思えます。放り投げたりもしますが噛みついてみるほど…(笑)。ムークさんにとってはいい迷惑でしょうが…。


7.暴力的なメテオさん

 メテオさんの問題は、ややもすると激しやすく、少々暴力的なところです。これはメテオさんが、幼少期に父を亡くしていることと、おそらく関係がありますね。まだ限界がわからない部分があった。「あった」と過去形なのは、次第にそのような様子は薄れ、第39話でイマシュンとデートしたあたりから、そのような性質上の問題は、ほとんどなりを潜めます。これはやはり、幸治郎さんとイマシュンからの影響ということでしょう。それまで男親がいないことで、培われなかった部分、それは例えば男性にどう接するべきか、というようなことも含みますが、そうした部分が、父がわりの人と、恋人によって、心に大きな揺さぶりがあった…ということであると考えられます。

 しかし、「激しやすい」というのは、ある意味では「情に厚い」ということの、あらわれだったりもします。事実メテオさんとムークさんとの絆、幸治郎・留子夫妻との絆などは、切れることはないでしょう。それだけメテオさんも、情に厚く、情にもろく、感情の起伏も激しいということであろうかと思います。


8.イマシュンとメテオさん

 イマシュンとメテオさんの、第39話でのデートシーンが映ります。ここは新作映像ではありませんが、前の7の部分からすると、イマシュンのメテオさんに対する愛情は、確定的なものであり、メテオさんとイマシュンは、もう将来を誓い合っているかのように見えます。

 おそらくメテオさんは、父がいないことで、悲しい思いをしたこともあったでしょう。また引け目を感じたことすら、あったかもしれません。しかし、それはイマシュンという人が、父以上の愛を注いでくれることになった。また彼が現れることによって、父がいないということは、メテオさんの人生の一里塚になり得た。またイマシュンのメテオさんに対する想いが、メテオさんの心のオリのようなものを、きれいに昇華させた…。メテオさんとイマシュンは、そういう相性の大変よいカップルなのだと思います。このことは胸を打つものがあります。

 余談ですが、案外メテオさんは、なで肩ですね(笑)。肩こりに注意かも(笑)。


9.幻想的とすら言える変身シーン

 最後のほうには、いろいろなメテオさんの表情を見せたあと、メテオさんのラブリン変身シーンが見られます。この変身シーンは、歴代魔法少女系アニメの中でも(メテオさんもコメットさん☆も、魔法使いではありませんが…)、屈指の美しさではないかと思われます。リボンをといて、髪がたなびくさま、そして一糸まとわぬ姿も、まったくいやらしさがありません。これはメテオさんの持つ、まごうことなき「virginity」を象徴しているから美しいのだ、と断言できます。

 さらに驚きなのは、口にくわえたバラを放り投げると、バトンに変形!。…かなわないなぁ、メテオさんには(微笑)。そしてスポットライトを浴びつつ、変身終了!という流れは、いかにも自分をショーアップする術を心得ているメテオさんらしいと、思わせるものがあります。バトンを振るシーンのカラフルな映像の美しさも相まって、完全に主役を食っているとすら言えるでしょう。


 メテオさんという人は、そのコメットさん☆とはかなり異なる「個性」で、いろいろな評価を持つ人ではないかと思いますが、メテオさん自身のもつ、ある種の「美学」は、見ていて感心するとともに、その「かっこよさ」には、ため息がでるようなものだと思います。また、コメットさん☆よりは、見ていて安定感のある人、というのでしょうか。不思議とそういう感じもするのです。それは、ませているということではなく、コメットさん☆より、ちょっといい意味で大人であるから…と、言ってしまえば言ってしまえるのかもしれません。もちろんコメットさん☆のもつ、「大人でもなく、子どもでもない」感性は、すばらしいのですが…。


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