第5話他に登場する大銀杏
第5話などには、大きなイチョウの木が登場します。この木は『メモワール・ド・エトワール』によれば、「コメットさん☆の住む街の中で、一番大きくて長寿な木。何百年も何千年も生きていて、この街をずっと守っていると言い伝えられている」とあります。まあ何千年はともかく、かなり長い間街の歴史を見続けてきた木、というような描き方でした。あまりその後、その設定が生かされなかったのは、少々残念ですが…。
ところで、この木のモデルはあるのでしょうか?。…もちろん、ちゃんとあります。鶴岡八幡宮の中に入った、大石段の左脇に立っている樹齢1000年と言われる木がそれと思われます。…というか、鎌倉でこれを上回ると思われる木は、確かに聞いたことがありません。
鎌倉で唯一の、県指定天然記念物です。この画像は撮影が2004年4月5日ですので、まだ新芽が出ていません。上のほうに見える緑色のところは、この木にくっついている別の木(ヤドリギ)のものです。
歴史上、源実朝が、この木に隠れていた公暁(くぎょう)に暗殺されたと言い伝えられていますが、江戸時代の創作だとする意見もあります。その「伝説」の真偽はともかくとしても、この木が長い間鎌倉の歴史とともにあったことは、論を待たないでしょう。
したがって、モデルとしてはこの木であることは間違いないと思われますが、設定上の場所として、コメットさん☆の家の近所の公園に移動しているのは、おそらく特にアジア方面への作品輸出に際して、神社の境内ではまずいという判断があったためではないでしょうか。段葛は頻繁に出てくるのに、その手前にある鳥居は、常に省略されているなど、日本の近隣諸国に対する侵略行為といった、歴史的経緯に配慮したのかもしれませんし、単にキリスト教国に輸出するのに、神社や鳥居は不都合とされたのかもしれません。
なお、位置関係としては、市内の「杉本寺」にある大銀杏が、石段のほぼ真上にあるので、そこも参考にはしているかもしれません。