作品中のキーパーソン
「コメットさん☆」という作品中には、何人もの「キーパーソン」となる人が出てきます。もちろんその代表はコメットさん☆自身ですが、さらりと見てしまえば、見逃しがちなところに深遠なものがあるこの作品。よくよく考えれば、微妙な立場、もしくは性格付けの人も結構います。
そのような人の中から、何人かを取り上げてみたいと思います。
プラネット王子
プラネット王子は、タンバリン星国(→コメットさん☆の故郷、ハモニカ星国のそばにある。トライアングル星雲中最大の星国。星雲内では、唯一の男性王位継承権者がいることになる)の王子です。しかし作品中で、その両親のことなどが語られることはありませんでした。
またタンバリン星国そのものが、謎に満ちた星国で、その政治的目的なども、よくわからないままです。
さて、この王子ですが、作品中第1話で、地球に逃亡→コメットさん☆地球行きの原因を、どういう形であれ作った人でもあります。ところが最終回付近に至り、星国のお供であるヘンゲリーノあたりに、何らかの陰謀が見え隠れするものの、「自分にふさわしい輝きは見つかっていない」などと、政略結婚になりそうな自己のお妃選定について、終始あいまいな態度をとり続けます。それについて、コメットさん☆は叱責の言葉を投げつけたりしますが、案外この王子という人は、深い洞察力を持った人なのかもしれません。
というのは、最終回において、結婚相手を決める儀式(=婚約の儀)に臨むにあたり、コメットさん☆を選ぶのか、メテオさんを選ぶのかという点が、最大・最後の焦点になります。
同じ星国のミラとカロンの間ですら、どちらにするべきかの意見は分かれていました。もっともこの二人には、何らかの「裏」の目的があったのかもしれませんが…。
しかし、王子は、自分からこの二人のどちらかを選ぶことをあえてせず、コメットさん☆とメテオさんという二人の王女に、「自分を受け入れてくれるなら、どちらかが自分を逆に選んで欲しい」旨言います。これに対して、メテオさんは「ふざけているわ!」と、メテオさん自身の心をもてあそぶような態度に怒り退席し、コメットさん☆も「星の子たちは大事だけれど、『いっしょに』その将来を考えることは、今はできない」旨断って、段を降りて下がってしまいます(余談になりますが、コメットさん☆がドレスで階段を駆け下りるのは、「シンデレラ」を意識した作画なのでしょうか)。
結局、おそらく王子の予想通り、二人の王女とも、王子を「逆指名」しないで終わるわけです。儀式に臨んだ時点で、彼の心は、すでに決まっていたのでしょう。だからミラとカロンの進言を聞いても、内心では耳を貸さなかったのだと思われます。
公然と厳しい態度を取られた王子は、メンツ丸つぶれでしょうし、わかってはいたものの、内心傷ついたに違いありません。ですが、この場面は、王子が、自分が傷ついてでも、自国にはびこる「王子を道具にして、政略結婚を早くさせることで、自分たちの体制がためを、いっそう進めようとする勢力」の手から、二人の王女を守ったのではないか?、とは考えられないでしょうか。どうもこれは、ヘンゲリーノが、持っている杖を折り曲げて悔しがる素振りでも、裏打ちされるような気がするのですが…。
「愛」が、「自分よりも、他の存在を優先する気持ちと思いやり」であるとするなら、あれが王子なりの、二人の王女に対する、「愛のかたち」であったのではないかと、思えなくもないです。
王子があの場面で、その気になれば、コメットさん☆を指名することもできました。もしそうなっていたとしたら、コメットさん☆は、その指名を断り得たでしょうか?。星の子と、自分の星国を“人質・モノ質”に取られている以上、おそらくコメットさん☆は、いやいやながらも、その指名を断らなかったのではないでしょうか。
王子としては、この一連の流れは、かなり危険な「賭(かけ)」であったに違いありません。でも結局は、王子の考えていた通りになったのでしょう。あえて「汚れ役」を自分が引き受けてでも、なんとか流れを、体制側ではなく自分の側に、絶えず引きつけておこうと、王子としてできる最大の努力をはかったということには、論を待たない気がします。
この「政略的結婚」を巡る騒動での、直接の被害者は、もちろんコメットさん☆とメテオさんという二人の王女に違いないのですが(コメットさん☆の、不安そうな、ドレスをまとった時の顔を見てもわかるように)、王子もまた被害者の一人なのではないでしょうか。そもそも、まだローティーンの王子と王女を、政治利用しようとした「悪の枢軸」は、王子の後ろにいる連中に他ならないのではないか…。それはタンバリン星国の正体が、今ひとつ知れないだけに、いろいろと想像されます。またこのように時系列を追って考えると、王子に関する見方も、少々変わってこようかというものかもしれませんね。
歴史にifがないように、完成された作品の脚本にも、まあifはないので、このストーリーは、脚本家によってすでに決まっていたことであるのですが、そのシナリオの裏側を想像すれば…ということです。
王子の表面的な態度に目が向きがちですし、彼が自らの生き方について、消極的とも取れる態度に終始したのも事実ではありますが、その裏にあるものを読み解くことが、この作品に多い、例によって深遠なテーマとして、要求されている気もするのです。
ヒゲノシタの矛盾
予定では、ケースケくんを扱うつもりだったのですが、第4話を見ているうちに、ちょっと一言書きたくなりましたので、ヒゲノシタ侍従長の考え方の矛盾について、今回は取り扱います。
ヒゲノシタは、「星遊び」をしている8歳のコメットさん☆に、「星の子は惑星の元になる。…やがて星雲をまとめるために、王女として…云々」といったような説教をして、コメットさん☆を泣かせています。まあ、泣かせるかどうかはともかくとして、このヒゲノシタの発言は、どう考えてもおかしいと思いませんか?。
星国人も、永遠に生きられるわけではありません。彼ら星国人も、地球人とDNAの構造が非常に似通っていることは、すでに「ヨタ話」のところに書きました。そうでなければ、スピカさんに、地球人との混血児が生まれるわけはありません。仮に種の違いを、子どもができる部分でクリアできたとしても(まず絶対にクリアできませんが)、柊さんが80歳くらいで死に、スピカさんだけが何万年も生き続けるとしたら…、スピカさんは「浦島太郎」のようになってしまうでしょう。その悲劇的運命は、想像もできないくらい、恐ろしいものです。
もしあなたが、200歳まで生きたとしたら…、どうしますか?。回りの友人、家族、知人、テレビで知った顔…全てがいなくなってしまう、もしくは知らない人に変わってしまう。実際上、それは恐ろしいことです。
人間の死亡率は、100%です。死なない人はいない。江戸時代に生まれた人は、今や一人もいません。
だから、地球人とDNAが非常によく似た「星国人」も、おおむね100歳までには死ぬはずです。
ヒゲノシタの言う、「星の子が惑星の元に…」というのは、万とか億という年が経過しないと、新星が惑星になど、なりはしないのですから、どういう意図で、8歳の子どもに言っているのか、しかも楽しげにしている子どもを、泣かしてまで言う理由がどこにあるのか、私にはわかりません。
はっきりしているのは、ヒゲノシタもコメットさん☆も、そんなに生きているはずはない、ということです。「星雲をまとめる」も何も、ここ最近の星雲情勢を、王族として帝王学的に学ぶことは、確かに重要かも知れませんが、生きてもいないだろう未来のこと、それも何万年も先のことまで、責任を持つべきだというような物言いは、この作品のイメージに合わない気がします。
それと気になるのは、コメットさん☆は王女ですから、それほど遠くない将来に、自分のふるさとである星国(それはもちろんハモニカ星国)を、女王として治世しなければならないかどうかという問題には、いずれ突き当たるでしょうが、現状でその問題について、あまり一人の人間に責任が集中するような突き詰め方は、はっきりおすすめできないことです。それはプラネット王子が抱えた問題と、同じ轍をまたコメットさん☆にも踏ませるのか?というところにつながるからです。
そう考えると、ヘンゲリーノとヒゲノシタ。この二人の守旧的考え方は、同じ病根を持っているように感じます。ヘンゲリーノは、王子を利用しようとして、王子と王女の個人的感情よりも、政権奪取や政略結婚をもって、自らの体制固めをねらった(ように見える)。それに対して、侍従長でありながら、自分の仕える王女の、個人的感情をあまり考慮していないのではないか?、という点では、ヘンゲリーノとそれほど違いはないような気がします。
ヒゲノシタ、自己批判せよ!。
あまりたのしい話ではなくなってしまいました…。もっとも人物をなるべく客観的に掘り下げようとすると、たのしい話ばかり書けないという事情もあることを、察していただければと思います…。
ケースケくんの問題
三島佳祐君(ケースケ)について、少し考えてみます。
彼の性格的なこととしては、口下手なのか、ちょっと人当たりが良くないのが気になります。しかしまあ、中学生〜高校生の男の子なんて、あんなものかもしれません。しかし、これは私自らの体験というか、遠い昔の(笑)感覚から言うのですが、やっぱり思ったことは言葉をもって相手に伝えないと、うまくは伝わらないものだと思います。
「バカ、バカ」と言っていても、実は始まらないのです。今時は、メールのやりとりで、何でもすむ時代かもしれませんが、コメットさん☆とケースケくんは、そういうコミュニケーションで、関係を深めようとはしていない。このことは、私たちのように、そういうメディア(ケータイとかメールとか)がなかった時代に、どうやって相手(別に異性に限らず)に気持ちを伝えようかと、悩んでいた時代の者たちに、オーバーラップします。
だからこそ、ケースケくんは、いずれコメットさん☆に、自らの気持ちをちゃんと伝えなければならないと思いますし、おそらく彼は、いつか必ずちゃんと伝えるでしょう。
今時「以心伝心」などというのは、もはや古いのだと思います。それが悪いことだとは思いませんが、私たちは人間として、「言葉」を獲得し、理性と知性で考え、語ることができるはずです。コメットさん☆という人は、非常に「直球勝負」の人なのですから、その人に対して、思っていることを言葉で伝えないのは、失礼にあたるでしょう。
きっとコメットさん☆は、ケースケくん自身の口から、彼の気持ちが語られるのを待っているはず。その期待に応えられなければ、ただの知性のない「バカ」に成り下がってしまいます。
知性とか、知恵とか、語彙といったものは、学歴とはそれほど関係ありません(教養度においては関係があります)。ケースケくんは、高校に進学していないようですが、いずれ再び勉強したければ、通信制だってありますし、大学でも通信教育部で、卒業の資格を取ることができます(なんならすぎたまが、かつて働いていた某大学の通信教育部を紹介してあげます。元職員、職員、卒業生が紹介すると、入学申込書は無料でもらえます(笑))。
海に向かって、「好きだったぞ」(なぜか「だった」と“過去形”なのですね)と言ってみたところで、始まらない。いっそうの精進が期待されます…。
さて、そのようなケースケくんなのですが、もっと将来のことを考えてみましょう。
彼がもし星国に「ムコ入り」するとなると、実は大変な問題がいくつもあるのです。「ムコ入り」とは、もちろんコメットさん☆と、将来結婚する、という意味ですが、コメットさん☆は「ハモニカ星国」の王族の一人であり、王位継承権第1位の人です。「愛」は全ての立場を乗り越えるかと言うと、ことコメットさん☆においては、なかなか実際上そうもいかない現実があります。それは何でしょうか…。整理してみますと…
1.いつかコメットさん☆の正体(星国の王女であり、ハモニカ星国を治世しなければならないかもしれない)を、知らなければならない。それはたとえケースケくん自身の理解を超えるものであっても、現実として受け入れなければならない。少なくとも、このままおつきあいを続けるなら…。
2.コメットさん☆の正体を知って、それでも彼女を「かけがえのないたった一人の、最大の愛の対象」として、本当に彼女を「愛」するなら、コメットさん☆の体も心も、傷つけるようなことは絶対してはならない(あまり直接的には書きませんが…)。またそのリスクを負わせることもできないはず。それでケースケくん自身の、コメットさん☆に対する「愛情」の深さが、おそらく試されることになるだろう。
3.星国の殿下になるとすれば、ケースケくんは一人残される母親を地球に置いて、星国に居を移さなければならない。
4.3に関連するが、コメットさん☆は、その存在自体「人々の夢と希望の象徴」であった。しかし、その希望の象徴と結婚することで、ケースケくんは世界一のライフセーバーの道も、後進の指導にあたることも、今の人間関係も、ほとんど全て捨てなければならない。希望の象徴と結婚することが、自らの希望や夢を捨てることになる。この矛盾をケースケくん自身も、コメットさん☆もどう考えるのだろうか…。ここでもケースケくんとしては、コメットさん☆の置かれた立場を、「愛=自分よりも他の誰かを優先する心や気持ち、思いやり」にしたがって、優先できるかどうか試される。
5.そもそも1〜4全ての真理を、理解し自分なりの定見を持つだけの、理解力が要求される。
…とまあ、なかなか問題は簡単ではないというところが、実は重苦しいところなのです。
では、スピカさんのように、コメットさん☆が地球に住み続ければいいではないか、という意見も出てくるかと思います。
ところがこれにも問題があって、スピカさんとコメットさん☆の決定的な違いは、「ハモニカ星国」を女王として治めなければならない立場にあるかないか、ということです。もちろん治めない自由も、コメットさん☆にないとは言えません。それを認めないほど、現状で不自由な縛りがあるわけでもないです(43話で勝ち取ったことでもありますし)。ですが、スピカさんの時以上に、「星の子」たちは悲しむでしょうし、タンバリン星国がどういう行動に出てくるか(ハモニカ星国に王位継承者がいなくなるので)、その辺が未知数です。…なので、おそらくコメットさん☆は、その責任感から、ハモニカ星国に帰ることは帰るでしょう。するとやはりスピカさんのようには、いかないだろうというのが、今後引っかかってくる問題だと思います。
意外な救いがあるとすれば、ライフセーバーのように、体が勝負の仕事は、40歳や50歳では、体力的に持たないだろうと思えることです。したがってもっと若い時代にしか、実際にはできない仕事。それが過ぎたときに、案外道は開けるかもしれません…。
メテオさんのこと New!
大変人気の高いメテオさんですが、彼女もいろいろと小さい頃から、寂しい思いをしてきたことがうかがわれます。
それはまず第一に、まだ生まれる前に、父を亡くしていると思えることです。父親であるカスタネット国王の顔を、見たこともない。写真で(またはメモリーボールで)、その姿を見ることしかできない。それはメテオさんの幼少から現在に至る性格形成に、深く影を落としていると思えます。
だから、いまひとつ男性に対して、どう接していいのかわからないところがあり、極端な表現になってしまうこともあるのではないでしょうか(例えば、ケースケやイマシュンにいきなり抱きつくとか)。風岡幸治郎さんを父に見立てているところがありますが、もっと幼少の時期に、「父の背中」を見ていないというのが、影響していると思います。
激しやすく、ややもすると暴力的なのも、普通は父親がいさめたりするものですが、母である現カスタネット星国女王が、おそらくメテオさんが生まれると前後して、国王の死去〜自らの即位という、非常に大変な時期を迎えてしまい、大げさに言えば、一つの星国の存亡がかかった時期が、一時あったと思われるので、その間、メテオさんは母の愛情も、希薄になってしまった時期があったととともに、そうした母のある程度強引に人々をけん引する面を、見なければならなかったことが、メテオさんの性格形成に大きく影響したのではと推察されます。
この間メテオさんは、母の背中を見て育っていますが、これは女王としての立場、王女としての立場を学ぶことにはなっても、父の背中ではないわけです。そのあたりが、自分と男性の誰かとの関係(誰と特定するわけではありませんが)を構築するにあたり、影響しているでしょう。
このことは、とても哀れなことです。メテオさんの普段の様子からは、そんな素振りあまり見えませんが、本来の素直な感情を、なかなか表すことができないメテオさんは、本当は、とてもかわいそうです。
しかし、どうにかして、その心の穴を、なるべく埋めなければなりません。もちろん完全に埋めることなど、出来はしません。たとえそれは、今突然メテオさんの父が生き返っても…です。多感な思春期を迎えようとしているメテオさんが、どうやってその穴を埋めるのか…。その鍵は、メテオさんに関係する男性、すなわち一人は風岡幸治郎さん、そしてもう一人はイマシュンこと、今川瞬くんにあると考えられます。また案外コメットさん☆からの逆照射もありそうです。
風岡さんは、やさしい、何でも話を聞いてくれる年老いた父として、明示的・暗示的に協力してくれるでしょう。またイマシュンも、小さい頃から父親はいないようですし、母の愛情も十分に受けられなかったけれど、その母に振り向いて欲しい、だから歌を歌い始めた…、その彼の孤立していた心の内は、きっとメテオさんと共鳴するに違いありません。よってこの二人が、男性としてはメテオさんの心を、そっと包んでくれるでしょう。
当初はメテオさんも、それが自らの立場や体にどういうことが起こることを意味しているのか、わからない様子のまま、王子をやみくもに探して、結婚することが自分の幸せと、星国の幸せにつながると考えていたようです。しかし、次第にそれは違うのではないかと、彼女自身気付きはじめ、自分の本当にとなりにいて欲しいのは、イマシュンであると想うようになります。この辺の思考の流れにも、一人親の影響は出ているのかもしれませんが、一つのはっきりとした方向性が見いだせたことは、いいのではないかと思えます。
さて、コメットさん☆はメテオさんにとって「ライバル」と評されます。当初のメテオさんが、王子との結婚こそが唯一の幸せと考えていた時期は、たしかにそうだったかもしれませんが、やがてそれはいろいろな「かがやき」に出会うことで、変化し始め、今(最終回前後)では、同じ悩みを共有する、固い友情で結ばれた「友人」となります。それには、まだメテオさんとコメットさん☆が、恋人を巡っての「愛憎」のようなものと無縁でいられること、「王子探し」の結末が第43話のようになったことも、いい方向に働いていますね。
女同士の友情は芽生えにくいとされますが、彼(か)の二人は、本当に心の奥で、固くつながっている、たとえ交わす言葉がきついときがあっても、互いに「信ずる心」があると思え、それは大変強い絆であると確信できます。
第42話で、メテオさんは、自分のイマシュンとの思い出すら断ち切って、本当は望まない王子との結婚も、やむを得ないと考え、トライアングル星雲と、星の子の未来のために、コメットさん☆にかわって、自分が政略結婚の当事者になることを決意します。もしコメットさん☆に対して、友情や責任感がなければ、さっさと自分は星雲や星の子より、イマシュンへの想いのほうだって、取れるはずなのに…。
でもメテオさんはそうしない…。第42話前半で、「困るのよったら、困るのよ」と、王子からの「指名」の可能性を、「困ったもの」と受け止めていることからも、イマシュンへの想いは、相当強いはず…。それでも自分を犠牲にして、イマシュンの記憶を消してでも、コメットさん☆を地球に残らせようとしたその友情は、メテオさんの深い洞察力と、感性の鋭さを、見るものに与えるとともに、とても尊い気がします。
それは、ある悲しみや寂しさを通り抜けてきた人だけが持つ、強いパワーのあらわれなのかもしれません。
メテオさんの名前は、「隕石」という意味です。綴りはMeteorit。隕石はどこに落ちるかわからないし、何かを壊すかもしれないだけに、流れ星のようには歓迎されないようです。しかし、それでもひとたび地球に落ちてきた隕石には、流れ星以上の、大きなロマンを感じる人もいる。メテオさんという人は、そんな強い力と、ロマンの両方をもっているかのような人…。そういう気もします。