当初は冊子体での体系化・刊行を計画していましたが、(1)取り扱い情報量が膨大になることが予想されること、(2)資料としての利用や検索のしやすさ、(3)「怪盗セイント・テール」という作品の歴史を多面的にたどることができるように、(4)その他コストの点などから、ディスク形態での刊行を検討しました。
しかし一方、巷間のホームページなどでは、自分のコレクションを公開されているようなホームページも、多数見受けられること、および、既に公開され商品化された各種キャラクター商品や、それに関連する情報を、このコンテンツのような「非固定的メディア」において公表することに、少なくとも現状で、「法の下の平等」や、本コンテンツに関わる交渉の経緯などから判断して、特段の問題は発生しないと考え(それらについての「利害関係人」がいたとしても、異議を唱える環境も整っているので)、あくまで私的コレクションと、知り得た情報の発表の場として、ここに公開するものです。
その裏には、メーカーや著作権管理者側に、きちんとした資料が無く(担当者の話による)、私たちのようなコレクションを楽しんだり、キャラクター商品のあり方を研究する立場の、いわば消費者側からすれば、このような商品その他に関する情報は、全て自分で収集・体系化しなくてはならないという現状があるということも、ここで問題提起しておきたいと思います。
このコンテンツの視・読者は、特に限定するつもりはありません。年齢や性別、その他あらゆる条件や立場を越えて、さまざまな内部的、一般的資料から、「怪盗セイント・テール」のという作品の、作品の性質や、作品世界の「広がり」を視読者とともに考える資料となりうるコンテンツでありたいと思っています。その意味において、あまり「アイテムコレクター」の手引き書のようにならないよう、考慮しています。これは作品に関連する商品の目録もそれなりの意味を持つと考えるものの、本来作品の受け手である編者や読者は、純粋に作品の内容とその示唆する意味を、共に考えるべきであって、作品を離れたところでの商業主義に裏打ちされた「アイテム論」は、さしたる意味を持たないと考えるからです。
セイントテールという「怪盗」は、「義賊」であるのかどうか、また子どもの視点でそれらはどう受け取られるのか、など、この作品にはいろいろ議論されるべき点があるようです。私は、一つの作品として「怪盗セイント・テール」の劇中の展開を考えたときには、「ファンの立場」と、「一般視聴者の立場」の、少なくとも二つの観点から、作品を論ずるべきと考えます。それは本来、この種のコミック・アニメ作品は、基本的に子どもを中心とした読者・視聴者に向けて作られているからですが、本コンテンツでは、そうした議論の場になってしまうと、上に書いたように「作品世界の広がりを考える」ことからは、逆に遠ざかることになると考え、あえてそうした論議はしないこととしました。
それは本コンテンツの目指すものが、単なる「アイテム論」でもなければ、単なる「作品論」でもないと考えるからです。そうした議論は、自主制作作品集(例えば同人誌に代表される)にお任せするとして、そのようなメディアでは不可能なことを実現するのでなければ、このようなネットワーク上のコンテンツの意味は、失われると言っていいでしょう。
このコンテンツに含まれる画像で、下にグレーの模様付きの敷物をしいて撮影されているものは、模様の間隔が中心間で5ミリですので、現品の大きさを推測する際の参考にして下さい。また同様に床に置いて撮影されたものでは、床板の間隔は75ミリとなっています。
またこのコンテンツは、画像の解像度や鮮明度などが一部で著しく異なっていることもありますが、編集上分担作業となったためと機材の関係によるものですので、逐次改善を進める所存です。しかしそれには時間がかかることと、この種のコンテンツは常に発展していくものでありますから、暫時の種々の不具合はご了承ください。
謝辞
このコンテンツをまとめるにあたり、またこのコンテンツに収録されている品々の入手にあたっては、非常に多くの人々のご協力を得ました。それは例えば一生懸命品物を探してくれた友人、商店の人であったり、入手困難であったものをわざわざ探したくれた現金問屋の人であったり、POPを捨てないでとっておいてくれたお店の人であったり、配送の人、メーカーの担当の人、グッズを譲ってくれた名も知らない人々、その他もろもろの人、はては編者の家族に至るまで、きわめて多くの人々であるのですが、そうした人々の好意のご協力がなくしては、私たちのコレクションも不可能であったし、またこのコンテンツの制作も不可能であったことは、言うまでもありません。