セイントテールスーパーエクスプレス概要
☆開発のコンセプト
「セイントテールスーパーエクスプレス」は、「スーパーエクスプレス計画」第4の車輌として、羽丘家の人々その他を乗客と想定し、本計画最初の電車、新製車で計画・設計される。
車体はJR東海373系電車の基本鋼体を利用し、内装を独自のものとしたもので、台車その他の基本構造部品も、JR373系のものを利用しつつ、一部では独自仕様としている。また完全な新製車である。
●車体
元となったJR373系は、クモハ373−サハ373−クハ372の3輌固定編成であるが、本車は制御電動車クモロ3700と、制御車クロ3750の2輌編成として、クモロ3700に窓向き座席と、カーペットルーム、洗面所を設定、クロ3750には、男女別サニタリ設備、フルリクライニングシート、喫茶カウンター、電話機を設定している。なお形式は特別車(グリーン車)のものになっているが、これは定員が非常に少ないことによるものである。が、特にグリーン車マークや形式記号(「クモロ」または「クロ」)は表記していない。
また運転室は、各車輌の前位より左隅として、JR373系と同じ構造のものとしている。したがってコントローラーも、左手操作ワンハンドル形とした。運転支援装置、ファクトリーコンピュータ、モニター装置などを装備し、運転台から、各主要機器の動作状態を監視できる。
設計の元となったJR373系には、デッキに仕切り戸が設けられていなかったが、この車輌には設置して、防音、温度調整に対処した。
●制御方式など
IGBT素子を用いた、VVVFインバータ制御により、クモロ3700の4台の交流誘導電動機を制御する。1台のインバータで、1台の電動機を制御するため、インバータ、あるいは電動機の故障の際でも、その電動機を1台単位で解放することにより、運転が継続できるものとした。
主電動機の出力は、JR373系より強化し、1台あたり220KWで、編成全出力は880KWである。歯数比はJR373系の6.53からやや増大させ、7.07としている。これにより、「りりかスーパーエクスプレス」2輌を牽引して、33パーミルの勾配上で停止後、再起動が可能である。また最高運転速度は130q/hとした。
ブレーキ方式は、全電気指令式回空演算形ブレーキである。
●各車内容
☆クモロ3700形(優等制御電動客車)
東海道本線基準で東京向きの制御電動車。インバータ、シングルアーム形パンタグラフなどを搭載している。
車内は、前位よりから、運転室、デッキ、窓向き座席、カーペット室とし、その後ろのデッキを挟んで、後位よりは添乗・乗務員室と洗面所とした。
運転室の後部は展望を考慮した設計で、ドアが両開きの1300ミリ幅のため、補助いすを仕切に設けて、前を見通せる構造とした。
窓向き座席は、2人がけのクロスシートを横向きに固定したような構造で、窓柱を極力よけるように配置し、24人分を確保した。また荷物台を設置してある。
カーペットコーナーは、靴を脱いで上がる構造である。ビデオプロジェクタとミニステージがある。
添乗・乗務員室は、無線、車内放送、ドアスイッチなど必要な機器を備えている。添乗員室として使うときは、車掌は後部運転室に乗務する。
洗面所は、本来はクロに設けられるものであるが、クロのトイレを男女別として、増設したため、洗面所をクモロに設備した。水タンクを床上に搭載しており、窓ガラスは、曇りガラスとしているものの、通常の大きさとした。
制御装置はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御であるが、素子冷却には純水を用い、環境対策とした。
台車はC−DT63形をベースとした、DT63KRS形である。
パンタグラフについては、JR373系より負荷が大きくなる関係で、離線対策を強化した(PS27KRS形)。
冷房装置は、キセの外観はJR373系と同様であるが、脱フロン化のため冷媒は変更している。
定員は座席数で計算し、24名(別に添乗乗務員3名)である。
形式・番号はクモロ3700形3701号。
☆クロ3750形
東海道本線基準で大阪向きの制御車。補機関係機器(コンプレッサー、バッテリーなど)を搭載している。このため、クモロ3700とは固定編成としている。また高圧母線引き通しを持つ。JR車輌と異なり、回生ブレーキを常用し、不足するブレーキ力は空気ブレーキによるため、発電ブレーキ用抵抗器は、設置されていない。
車内はクモロとの連結面側から、男女別トイレ、電話機(自動車電話システム)、デッキ、仕切の内側に2−1配列のフルリクライニングシート(ピッチ1300ミリ)を装備、運転台よりには、喫茶カウンターを装備して、軽食などが出せるようにした。デッキと運転室の構造はクモロと同じ。
座席の間隔は窓の柱をよけるように配置している。回転リクライニングシートだが、45度ずつの角度で止められるようになっている。
雑排水タンクを設けて、喫茶カウンターからの排水を垂れ流さないようにした。
台車はC−TR248形をベースとした、TR248KRS形で、回生ブレーキ失効の際のブレーキ力確保の目的から、ディスク・踏面ブレーキ併用として、必要なブレーキ力の確保を行っている。
定員は座席数で計算し、21名である。
形式・番号はクロ3750形3751号。
●列車としての運用
日本の鉄道のうち、狭軌で20メートル車が走行できる区間で、直流1500ボルトによって電化されている区間は、基本的に走行可能である。狭小トンネルが連続する中央線高尾以西、身延線なども特別な対策なしに走行可能である。
保安装置として、TE装置、EB装置、防護無線、ATS−P、SNを装備し、乗り入れる線区によっては、ATCを仮設搭載することもできる。また場合によって、機関車牽引により非電化区間でも入線可能な線区がある。JR東海の373系特急形電車とは、元の鋼体が同じこともあり、併結が可能であるほか、他の「スーパーエクスプレス計画」によって製作された車輌群とも、連結して相互に電力関係の受給電も可能である。
なお列車無線装置は、JR形のアンテナを設置しているが、受信不能な線区(私鉄など)に入線の場合は、必要なアンテナを仮設搭載する。
●外装と塗装
ベースがステンレス車体のため、全面塗装はしないが、窓周りはJR東海のブラウンに対し、完全なブラックとして、その下にセイントテールのイメージカラーから「セイントテールレッド」(国鉄指定色赤14号)の帯を回した。前頭部分は鋼体の性質上普通鋼製のため、ベースカラーは「ピュアホワイト」としている。
側面行先表示窓などは、列車の性質上当面必要ないため、内側からステンレス板でふさいである。ただし前面のヘッドマーク部分には、絵幕として併結運転の可能性の高い、特急「東海」「伊那路」「ふじかわ」、及び快速「ムーンライトながら」を用意し、その他に特急、急行、快速、回送、試運転、白無地、赤紫無地、「St.tail
Super Express」を入れてある。表示コマ数は20コマである。
クロ3750のトイレ部分には、窓がないため、この部分には「St.tail Super
Express」のロゴとマークを表記している。
また所属を示す「KRS」マークも、車体戸袋部に表記し、車輌番号はドア脇に表記している。