モハ102形の更新工事

 モハ102形は、比較的加工点は少ない。側面のルーバーを間違いなく配置することに留意する程度である。

 まずは現車を解体してゆく。この種車はどういうわけか、本来ないはずのモーター2個を搭載しているので、編成上はモーターは前後とも中央の車輌にあった方が都合がいいから、そのまま利用することとする。画像上は解体したままの車体。中央は動力装置(左右に見えるのが縦型モーター、エンドウV−19)。下は床板の止めねじ類である。


 このように車内灯もはずす。天井に引っかけてあるだけなので、簡単だ。


 屋根上のベンチレータとクーラーも撤去する。特にクーラーは取り替えるので、もし傷を付けても大丈夫だ。クーラーをはずすと、封印されていた別のベンチレーターが!。ふつう隠れてしまうところの部品は撤去するものだが、前所有者はものぐさだったのか。


 窓ガラスの塩ビ板も、汚れているので取り替えるため撤去する。こんな具合にはがす。


 完全にバラバラにしたモハ102種車。左から窓ガラス、車内灯、ホロ、クーラー、上に行って動力装置2組、台車、ねじ類、ウエイト(四角いかたまり)、下に6つ並ぶのはベンチレーター、床板(穴あき)、床下機器ユニット、車体。


 ガスマスクを付けて、車体の塗装をはがす。歯ブラシでリムーバーを塗りつけ、真鍮ブラシでこそげ取る。換気扇を回しての作業だが、目にしみる。


 このように金属ブラシでこそげ落とす。はがれた塗膜は排水口を詰まらせがち。


 塗装はがしが完了した車体。上側がモハ102、下はクハ103−500予定車。


 動力装置の調整と組立を行う。この車の床板にはゆがみがあったので、なおしてから作業を進める。


 一応組み上がった動力装置。ウエイトも流用している。配線はまだ行っていない。


 配線をしてから、動力装置だけでスムーズに走るかテスト。特に問題はないが、縦型モーター車の宿命として、あまりな急カーブでは、モーターのブラシが浮き上がってモーターが停止してしまう。この程度のカーブならば問題ない。


 側面に冷房車特有の「行先表示窓」をあける。ドリルで大まかな穴をあけ、モーターツールで広げた後、最後はこのように棒ヤスリで少しずつ削っていく。削りすぎは致命的なので、細心の注意が必要だ。また左右の側面で位置が微妙に異なるので、この点も寸法取りには気を使う。


 一応の加工が終わった車体。これから風取り口のルーバーの配置を正確にする工事にかかる。


 左側の扉の左上、右端の扉の左上のルーバーは、いったん埋めてしまう。


 ポリパテで埋めたルーバー。ポリパテは短時間で硬化する合成パテ。酸化剤で硬化反応を起こさせるのだが、このにおいも強烈。


 ルーバーのパーツをエポキシ樹脂系接着剤で接着。またクーラー脇のランボードもこの段階で接着するが、クーラーとの位置関係を見るため、クーラーも仮おきしてある。クーラー左上は細かい傷を埋めたあと。


 下塗りのため天気を見ながら、プライマー→ピュアホワイトを塗る。市販の缶スプレーだが、黄色の発色をよくするために使用。プライマーは塗料の食い付きをよくするために必須。


 クーラーも同じように灰色に塗る。103系のクーラーは基本的に灰色である(銀色のものは取り替えたものが大部分)。


 塗装完了のクーラー。これからファン(両側の丸いところ)にかぶせるメッシュパーツを付ける。


 いよいよ車体の黄色塗装。天気のいいときにこのように端から塗っていく。ゴミや毛くずなどが入らないようにするのには気を使う。


 上下反転しても塗装する。そうしないと雨どいの上側とか、ドアの靴ずりの上側などに塗料が乗らない。


 マスキングをしてから(黄色の部分をテープで覆う)、屋根のグレーを塗る。このときクーラーとは別の色を塗る。実物はクーラーの方が薄いグレーだ。


 グレー塗り上がり。はみ出しがないかドキドキである。


 大まかな塗装ができた車体。クーラーはまだ仮おき。


 烏口を使って、サッシの銀色を入れていく。かなり細かい作業ではある。ラッカー系の塗料なので、失敗はそのまま線の乱れとなって出てしまう。


 サッシが終われば、今度はHゴム(固定窓の止めゴム)に色入れをしていく。これも烏口を使う。


 色入れが終わった車体にベンチレーターを取り付けていく。クーラーにもメッシュパーツを付ける。


 窓ガラスとなる塩ビ板を貼っていく。ごく少量の接着剤で仕上げるのがコツ。行先表示器のところだけは、下の窓と一体化させる。見えているドアの2カ所左上に、ルーバーのパーツが見える。接着剤がルーバーの羽の間からはみ出てしまったのが反省点。


 車内灯を元の位置に取り付ける。これは動力車のみは流用した。本当は明るいユニットライトにしたいが、そうすると車内のモーターなどが丸見えになってしまう。しかし結構暗いので、取り換えてもいいかもしれない。


 完成してレタリング(型式番号)も入れたモハ102−156号。これから走行テストに入る。


 試運転線を軽快に走るモハ102−156。2001年9月7日深夜完成。