加工と掃除を終えた、新しい方のチューリップを、元の位置に取り付けます。後ろに出たロッドが、正しく叩かれるように、気を付けて取り付けます。具体的には上からはめて、下を押さえるような感じで、元の穴に押し込みます。
釘で止めてあったので、同じ釘を使って止めるのですが、釘は押し込むようにし、打ったりはしないようにします。
下のチューリップ真上にある釘が、かなり「上げ釘」なので修正します。これは購入時からこうなっていたのですが、推定される理由は、あとで少し述べます。
うまくいったはずなんですが、どうもチューリップが開くときは問題ない(役物中央などからの連動もちゃんとしますし)ものの、閉じるときに内部の真鍮製ベロ下(画像のピンク色矢印の先)に、玉が残ってしまい、中に入っていかないという現象が頻発します。
結局のところ、チューリップ取り付け部分下側のベニア板が、正しい形状に穴開けされておらず、ベニア板の途中で止まってしまうのではないかと推定し、玉がひっかからない程度に、ベニア板を削ることにしました。しかし漫然と削ると、裏側の払い出し機構側へ、木の削りかすが落ちて、玉の正常な転がりを阻害すると思えるので、小形の掃除機で吸い取りながら、棒ヤスリで削り込みました。緑色のものが掃除機の先、その下ベニアの断面にあてている黒っぽい棒がヤスリです。奥の四角い穴は、チューリップ裏側のロッドが、さらに奥へと突き出るための穴です。
修正完了。ちゃんとうまく玉が流れるようになりました。これで本来の姿だと思います。チューリップの白い部分が無くなってしまいましたが、紙が貼ってあるだけなので、白の塗料でも差しておこうかと思います。上下2個のチューリップが開いたとき、上に先に入ってしまっても、下は同時に閉じなくなりました。
再度取り外したチューリップを見て、なぜ底が抜かれていたのか、下のチューリップ両側の釘が、異様な上げ釘だったのか考えます。
この台は、もともと製造上問題があって、よく上段チューリップの奥に玉がひっかかってしまうトラブルが発生し、ホール従業員の人の手を煩わせていたのではないでしょうか。それでやむなく、チューリップの底を抜いてしまい、奥に玉が行かないように「改造」して使用していたのではないかと。そういう「改造」が、本来認められるのかどうかわかりませんが、ベニア板が正しく削られていないという原因がわからず、苦労していたのではないかと推察します(この台が改造されていたようだとの確証は、アメリカ大手オークションサイト「eBey」に出品されていた、全く同じ形の台のやや不鮮明な画像から得ました。中央上のチューリップは、底が抜けておりませんでした)。
それで上下一度に開閉するようになってしまっていましたが、上のチューリップの底を抜くと、下のチューリップの真上にある釘と、チューリップ本体側面の間に、やや大きめなスキマが出来てしまい(上の画像でも、上側の底が抜けたチューリップは、底部がだいぶ切れ上がっているのがわかるかと思います)、場合によっては、予期せぬ入賞ルート、すなわち、下のチューリップに、脇から直接飛び込むというルートが出来てしまう可能性があるため、やむなく下のチューリップの真上の釘を、極端な上げ釘にして、そのルートをふさいだ、というのが真相かと思います。
いずれにしても、今のハイテク機には無いような、「アナログ的不具合」が、かえって面白いと思えますね。ベニアの穴開けや、全体の組立も、おそらく人がやっていたのではないでしょうか。今のように、コンピュータ制御の機械など、無い時代でしょうし。