353号に付けられた、東洋電機昭和32年と、東洋工機昭和32年改造の銘板。大変珍しいもののようです。特に電機と工機が並んでいるのは、この車(と303号)だけではないでしょうか。これは製造銘板ではなく、ボギー車を連接車に改造したときに付けられたもので、304−354号や、305−355号は、東横車輌碑文谷工場で施工されたため、銘板は外に付いていません。
303−353号は、以前より車体がたわんでおりました。すそが直線ではなく、ゆるやかなU字を描いているのがわかるかと思います。これは、当然こういう仕様なのではなく、老朽化でたわんだものですが、かつてはこのような電車、それほど珍しいものではありませんでした。御殿場線のモハ72形や、地方私鉄の払い下げ車などに、結構あったものです。アルミサッシに交換するとき、多少困ったかも。昭和初期に作られた車体に、冷房や近代的装備は、文字通り少々荷が重かった、ということでしょうか。
305−355号の連接部分台車。形式TS−838形で、モーターはありません。しかし、将来はモーターが取り付けられるようになっているのかもしれません。先頭台車と同一設計に見えます。1000系などは、連接台車がディスクブレーキで、台車枠の、外側への張り出しが無いなど、全くモーター取り付けを考慮してない設計と形態です。このような細部のパーツが撮影できるのも、イベントならではということになりましょうか。
305号の空気圧縮機(コンプレッサー)。形式はHB−1200Sです。古い台枠に、苦労して付けられている様子がわかります。台枠下面にあて板がしてあったり、左側のスイッチ箱は、台枠にもう一つ枠をかぶせて、それに取り付けたりしていますね。この空気圧縮機は、303号も同じものをつけており、1000系の1100形から採用されたものです。現在は1000形もこれに統一され、多少のマイナーチェンジはあるようですが、基本的に江ノ電の標準品になっています。
おなかが減ってきたので、帰ることにします。355号のサボも交換されていました。これはアジサイの時期に掲げられるものです。そう言えば、300形の前面サボは、少し上下寸法が最近大きくなりましたね。