JR東日本大井工場公開

 JR東日本の大井工場。以前は御料車庫があるなどの理由で、公開されていませんでしたが、最近は普通に毎年8月最終日曜日に公開されています。今年も暑い中行ってきました。2002年8月24日です。


大井工場に展示されたナデ6141号電車の画像です

 明治から昭和初期まで活躍した「院電」ナデ6141号です。同族は目黒蒲田電鉄→東急に譲渡され、同社3300形などになったりしましたが、この車は日立電鉄に譲渡、モハ101号となっていたのを、国鉄が記念物として買い戻し、大井工場で復元整備したものです。構内に限り自走できるように、主電動機の改造、パンタグラフの搭載などを行っていますが、ここ数年は動いていません。

 今回は宴だか華だかの脇に並べて展示されました。大宮工場のように、そばに寄って観察できないのが多少残念ですが…。


マイテ39形の画像です

 JR西日本のマイテ49復活に触発されてか、青梅鉄道公園で荒廃していたマイテ39を修繕した大井工場でしたが、残念ながら走行はかないませんでした。しかしこのように美しく整備され、静態保存されています。連結器脇のアンチクライマーも、国鉄車輌で見られるのは、この車だけかもしれません。できればもう少しサイドが撮影できるように展示してもらえるとありがたいですが…。

 奥に走っているのは、101系の南武支線用車で、この展示走行が事実上最後の「営業運転」となったようです(乗車無料ながら定員制で、立って乗ると乗せてはくれるが、記念券がもらえないという罠が…)。


大井工場保存車クモハ12形50番台の画像です

 長らく鶴見線の大川支線を中心に活躍して、話題を振りまいたクモハ12052,053ですが、引退した現在は、このように保存車として余生を過ごしています。左側に転用改造種車?の205系が見えますが、両車とも山手線のベテランと言っていいでしょう。


庫内にたたずむ103系クハの画像です

 研修庫内には、廃車予定車か検査入場かわかりませんが、クハ103とモハのユニット(写真右)がいました。色はエメラルドグリーンです。


トラバーサーの走行路に実をつけるスイカの画像です

 トラバーサーを場内移動用通路として固定してありましたが、その脇にスイカが実をつけているのに驚きました。ひょうたんも1個ありました。おそらくトラバーサーが動いても、つぶれない位置なのでしょうが、職員の方が水をやっているのでしょうか?。そういえば自動改札用新型ICカードの名前もSuicaだったなぁ…って全然関係ない…。


部品販売風景です

 解体部品を売っていました。私たちは遅く行ったので、あまりめぼしいものは残っていなかったようですが、113系のライト(左側オレンジ色)、銘板類、行先表示器、マスコン、圧力計、103系の運転台部品いろいろなどがありました。赤色▲のLED式運行番号表示器は買ってみました。コンピュータのSCSI−IDをジャンパで設定できる人なら、簡単に点灯させられます。


103系の制御器の実演です

 103系の制御装置の動作を実際に見せる展示です。大宮工場にも同様のものがありましたが、ここのはなんと「電車でGO!」の筐体に連動する(右上にそのモニタが見えますが)というものでした。したがってゲームをしている人には、この機器の動作は見えません。


103系の断流器の展示です

 制御器と連動して動く「断流器」の展示です。これも作動していましたが、説明をよく読まないと、仕組みがわかりにくいのが難点でしょうか。


スクリュー式コンプレッサーの展示です

 209系やE231系などに採用されているスクリュー式コンプレッサーの実物が展示してありました。さすがにこれは作動させていませんでしたが、形状がよくわかります。複雑な形状で、模型で作るのは大変かも?。


旧形国電用MT−15形主電動機の展示です

 旧形国電に搭載されていたMT−15形主電動機の展示もありました。撮影しにくかったのですが、左側の赤いところがサスメタルで、車軸に乗るところです。そして右側の歯車が車軸についた大歯車にかみ合って、車輪を回します。このように主電動機の荷重を車軸にかけてしまうのが、釣り掛け駆動方式ですが、実物の見本は少ないだけに貴重なものでしょう。


りんかい線の70−000系の入場車の画像です

 12月に延長開業する「りんかい線」の70−000形が入場して、馬に乗っていました。下回りは基本的にJR209系と同じなので、検査はこのように委託です。将来的には自前の検査設備を持つことになるのかどうか…。


新性能国電の元祖101系試作車保存車の画像です

 新性能国電の元祖101系は、最初に各社競作で?10輌が作られました。そのうちモハ90503号(のちのクモハ101−902号)と、モハ90004号(のちのモハ100−903号)は、国鉄大井工場で製作されたものです。当時の国鉄の意気込みが感じられますが、このうちクモハ101−902号は南武線での活躍を最後に引退後、大井工場正門脇に保存されています。大井工場の製造銘板(改造ではなく)が大変珍しく、また試作車であるため、量産車とはいろいろ異なった部分もあります。

 例えばこのアングルでの貫通ドアは原形で、量産車と異なりHゴム支持ではなくて、最近の「押さえ金」式に近い形です。また台車もDT21Xで、バネ回りの形態が違います。正面(この写真では向こう側)も、行先表示窓や運行番号表示窓が量産車より角張っており、乗務員室扉脇の手すりの形状も違います。ベンチレータも1個を除き旧形国電モハ63用のものになっているなど、特徴の多い車輌です。

 屋外展示なので整備が大変だと思いますが、状態は良好なので、今後も末長い保存を期待したいところです。


 イベントの感想としては、もう少し展示車輌が充実していて欲しい気もします。電車中心の工場なのでなかなか難しいところがあるでしょうが、クモヤ90やクモニ13、東日本ではここだけのクモル145系なども加えて欲しいところです。101系の展示運転はなかなか好評のようだったので、今後もいろいろ走らせて欲しいです。