著作権に思うこと
あるブログをくまなく読むことになってしまった。その経緯は、掲示板やリンク先などを詳細に読んでいただければだいたいおわかりになるだろうが、それはともかく、その先の話をしてみようと思う。
件のブログは、鉄道模型のジオラマ作成についての様々な問題などを扱っているのだが、ページによってはまあまあ調べてある記事もある。しかし、肝心な著作権の認識がまるで間違っているところがあり、その知識の低さと、そもそもパソコンでちょっと調べればわかることを調べない姿勢は、驚きとしか言いようがない。
そのブログでの主張というか、思い込みは、
●雑誌の著作権は発行後50年
●1966年以降の雑誌著作権は出版社に帰属
…なんてあたり。
まるで勘違いは、雑誌の中身の著作権は、その記事を書く段階での契約によるのであって、いわゆる「買い取り原稿」であれば、出版社との間で著作財産権について完全に譲渡する契約になっている時、初めて公表後50年となる。単なる著作権の利用契約の形であれば、原著作権は著作者に残留するので、その著作権は、例え雑誌上にあるものでも、著作者の死後50年(TPP発効後は70年)である。どうしてこんな勘違いをするのか。
確かに鉄道雑誌などでは、投稿原稿の掲載時、いちいち著作権の帰属について、詳細な契約書を取り交わさないことがほとんどで、私も経験があるから、厳密な著作権の最終的な管理を誰がしているのか不明なことがある。しかし、原則は原則。そこを押さえないで、いい加減な記事を書いてはいけない。自分が読んでいる雑誌が、世界の常識だと考えてもいけない。
また1966年以降の雑誌著作権は出版社に帰属に至っては、なんだかさっぱりわからない。雑誌の記事であっても、出版社に著作権が帰属するかどうかは、やはり契約によるのである。また、その契約に、著作者人格権の不行使特約が無ければ、公表権、氏名表示権、同一性保持権という「著作者人格権」は不可侵だ。付け焼き刃で、半可な「知識」を晒すと、恥をかく一例と言わざるを得ない。
著作者側も、これらの出版に当たっての契約がどうなっているのかは、重々確認が必要である。そこら辺をいい加減にしておく、なあなあにしておくと、時にあとで問題が発生するのである。
だいたい件のブログは、雑誌の中身や説明書、他人のコメントには、著作権が無いと思っているようだから、なにをかいわんやであるが…。
ちなみに、タイトルには著作権は宿らない。古いラジオドラマ「君の名は」と、アニメ映画の「君の名は。」がタイトルの読みや見た目がほとんど同じであったり、人気テレビドラマ「家政婦は見た」と、「家政婦のミタ」が類似していても、問題が無いのはそのためである。
ただ、タイトルに著作権が宿らなくても、登録商標になっていたりする場合があるので、知的財産権に敏感な現代では、ブログと言えども注意が必要なのは言うまでも無い。