レイワフィーバーの裏側で

2019.5.5号

 5月1日は改元ということで、前の日あたりからテレビはもうそれ一色である。
 新天皇が即位し、前の天皇は上皇となるという。その報道にはもういささか食傷気味ではあるが、まあ国民の一人としては、見ておくべきかもしれな いと思ったので、一応テレビを付けっぱなしにしてちらちらと見ていた。
 今回の改元は、前の天皇が逝去した後の改元では無いから、全体に祝賀ムードなわけである。
 昭和から平成に変わった時は、昭和天皇の容態が極めて悪化して、逝去してからの大慌てな改元だったこともあり、世の中沈鬱なムードとともに、どこか慌てた感じが漂っていたものだ。
 だが、今回は違う。元の明仁天皇は、ちゃんと元気で上皇になったのだし、それまで皇太子だった徳仁氏が天皇に即位したということである。 したがってもう、デパートは特売だし、「平成」(へなりと読む)地区の道の駅は大人気だし、郵便局には記念の押印をしてもらう人が押しかけ、 だいたい10連休にもなって、人々は長距離の旅行や観光に繰り出し、渋谷は大混雑になるという有様である。全く「お祭り好き」の国民なんだな日本人は、という気にもさせられるが、見方を変えてみると、この「非逝去改元による経済効果」は、計り知れないものがありそうだ。どこか算定してみる経済研究所がありそうだが、消費税増税による税収を、一時的とは言え、はるかに上回るのではあるまいか。
 いっそ、秋に予定されている消費税の増税なんてやめてしまい、4年に一度くらいの間隔で、改元を続けていたらいいのではないかとすら思うほどである。つまりオリンピックの年の1年前には必ず改元とか、どうだろうか。
 さすがにそんなにしょっちゅうだと、ありがたみも無くなり、今回ほどの経済効果は見込めなくなるだろうが、実は不景気なこの世の中、老いも若きも「レイワフィーバー」なのを見ていると、決まった間隔で「非逝去改元」はあったほうがいいんじゃないか、などと思ってしまうわけであ る。
 むろん、法律の想定外でもあるし、そんなことは簡単に出来っこ無いが、それでもこの「レイワフィーバー」を見ていると、経済の面からすると、一時の盛り上がりに 終わってしまうには、もったいない気がするのである。
 

戻る