「浜宮」のご主人に頼んで、そのまま貝殻をもらい、うちに持ってきました。ところが巻き貝の特性上、口のところはともかく、奥の巻いている末端のほうまでは、ワタを取り出すことが出来ず、そのまま内部で腐っていくという状態になってしまいました。こうなるとハエはたかるし、臭いし…。どうしたものかと思ったのですが、ここで捨ててしまうのももったいないと、とりあえずは真水で、次いでペットボトルの大きいのを切って、それに水を満たし、塩素系消毒・漂白剤で汚れを落としつつ、中身の残った部分をはがれやすくして、水で洗う…というのを、1ヶ月以上繰り返しました。
最終的には、残ったにおいと、中身のわずかな残滓を取り除くため、重曹を水に溶かして、そのアルカリ性の性質を使って、タンパク質を分解するという方法により、ようやく鼻を近づけても大丈夫という状態+きれいになった状態にしました。2005年10月16日撮影。
画像は、とあるお店のショーウインドウにあった、「シロナルトボラ」という貝の標本です。3800円もします(笑)。他も見ましたが、だいたいどこのお店でも売っており、色や大きさにはかなり個体差があって、したがって値段にも差があるようです。2005年11月1日撮影。
この貝は「エノシマホラガ(カ)イ」と書かれています。江の島の原産なんでしょうか。「江の島産」だそうなので、地元の磯で取れたものでしょう。
この貝、口のところの模様の付き方、口の部分の縁があまりでこぼこしておらず、比較的スムーズな曲線を描いていること、それと貝を口の背側(この画像で言えば、向こう側)から見たときに、口の下側(画像では右側端)が三角形か四角形に出っ張って見える部分は、作品中で使われた貝とそっくりです。
ところが、問題として、口がやや大きい、模様が口の縁に沿ってついている、口以外の全体に模様があり、作品中のプレーンな色とは、少しイメージが異なる、という点が問題です。なお作品中に出てきたものは、口の内側約1〜2センチのところに、くさび形の模様があります。2005年11月10日撮影。
これは、「オオナルトボラ」という貝だそうです。私が捕ってきたものは、まさしくこれであることがわかりますね。画像を比べてみましょう。2005年11月10日撮影。
これは、私の捕ってきたオオナルトボラを、口側から写したものですが、やはりやや不鮮明ながら、口からやや奥側に模様があるのがわかります。作品中の貝との類似点としては、口から少し入ったところに模様がある、貝本体のでこぼこ感は非常に似ている、口の裏側(1つ上の画像で下から見上げる感じ。この画像では右側から左下方向を見た感じ)から見たとき、口の下辺(1つ上の画像で左上側、この画像で右下側)に三角形もしくは四角形の出っ張りが出来る…という諸点から、作品の貝に極めて近い気がしますが、一方口がやや大きめ、口の縁がややギザギザしている、模様が不鮮明という点は、ちょっと遠い気もします。2005年11月3日撮影。
別な品も店頭で見つけましたので、これも検討してみます。この個体は、口の中の模様が極めて不鮮明で、口の下辺(画像右側)に三角形の出っ張りが見えるところなどは似ているものの、何となく全体にごつごつした印象で、今ひとつ決め手に欠くようです(もしかしてこれは「シロナルトボラ」?)。2005年11月10日撮影。
これは「ダイオウイトマキボラ」という貝だそうです。この貝の、全体のフォルムは、コメットさん☆の持つ貝殻通信機に非常に似ています。全体にあまりごつごつしないでいて、一定の間隔で出っ張りがあり、口がやや長くて小さめ、かつ口の縁があまりギザギザしておらず、巻きが割とはっきりしている…という点です。しかし、貝の口を背側から見たとき(この画像では下から上に見上げる感じ)の、口の下辺(この画像では左下)に三角形や四角形の出っ張りが見えるかどうかは、ちょっとそういう感じではなく、ストンとまっすぐにつながっている印象です。それと口の内側に模様がはっきり見えないのも気になりますね…。さらに作品で描かれる貝は、口の下辺に切れ込みがあります。しかし、この「ダイオウイトマキボラ」には、そうした切れ込みはありません。2005年11月10日撮影。
その後入手した標本を元に、もう少し検証してみます。