トランジスタコントローラの木部加工

 トランジスタコントローラが必要になった友人のため、実物電車部品を使用して、コントローラを製作することになりました。内部の配線は友人自身がやることになったので、私は木部の加工と、ハンドル類の取り付けを担当しました。
 基本的にトランジスタコントローラ類は、実物同様のスタイルとするときは、同じような加工をしています。これから作ろうという方は、まあ参考になさって下さい。

集めた部品の画像です

 まずは使用する部品を集めます。左側の銅色のものはマスコンハンドル(加速を調整するハンドル)で、国鉄103系からの廃車発生品です。右側のグレーの部品は、ブレーキ弁M−24で、東急電車の旧形車か何かについていたもののようです。
 ついでにおおよその寸法をあたっておきます。幅30センチ以上ないと、操作がしにくくなると考えられます。


切り出してもらった材木の画像です

 ホームセンターへ出かけて、材木を切ってもらうところから始めます。おおよその図面を引き、それに合わせて適当なベニア材を切ってもらいました。板の厚さは重い部品を受けることを考えて9ミリとしています。丸穴はブレーキ弁とマスコンハンドルの回転軸がはまる穴ですが、これもついでに加工してもらいました。もちろん自分でやってもいいのですが、寸法の正確さと、作業の手間を考えるとこの方がずっと楽です。


ブレーキ弁の取り付け位置をケガいている画像です

 ブレーキ弁の取り付け位置をサインペンでケガいているところです。実物同様長ボルトで取り付けます。


ブレーキ弁の取り付けを検討している画像です

 ステンレスボルトでブレーキ弁を取り付けます。


最低限の木組みを終えたところの画像です

 最低限の木組みを終えて、マスコンハンドルの回転軸の寸法を採ります。


ブレーキ弁を取り付けた画像です

 ブレーキ弁の最終的な位置あわせを終えたところです。ハンドルをはめて角度などに問題がないか見ます。


ブザーとその押しボタンを取り付けている画像です

 ただ運転するだけではおもしろくないので、少し遊びの要素を入れることにして、実物用のボタンなどを使用して発車合図などに使うブザーを付けることにしました。ブザー(左側のグレーの丸)とそのボタンを取り付けているところです。


ブザーを取り付けたところの画像です

 無事ブザーと押しボタンの取り付けを終えました。向こう側に見えているのは、マスコンの回転軸になる棒材(テーブルの足のもよう)と、可変抵抗などの電気部品の一部です。


マスコンハンドルの裏側の寸法を測っている画像です

 マスコンハンドルの裏側にあいている穴の深さを測ります。回転軸の出っ張りを何ミリに取るかを測っているところです。


マスコンの回転軸を適正な寸法で切断した画像です

 ハンドルの穴の深さを考慮して、回転軸を必要十分な長さに切断します。小さな胴引き鋸を使いました。


マスコンハンドルがはまるようにハンドルの回転軸を仕上げている画像です

 ハンドルの裏側の穴は四角形ですので、それに合わせて棒の先端を切り出します。「オルファ鋸」という製品を使い(替え刃式の小形鋸)、1辺ずつ慎重に曲がらないように切っていきます。これは骨が折れました。1日1辺しか進まない…。


回転軸の仕上げが終わったところの画像です

 ようやく4辺の切り出しが終わり、回転軸の出っ張りが出来上がりました。ここにハンドルがはまるわけです。


マスコンハンドルを仮にはめて仕上がりを検討している画像です

 ハンドルを仮にはめて、寸法や仕上がり具合を検討します。また中央付近に車輌の運転方向を逆転させる「逆行スイッチ」を取り付けておきました(手前の小さなスイッチ)。


ブレーキ弁の弁棒にジョイントを付けるための穴を開けている画像です

 いよいよブレーキ弁の加工に入ります。まずはブレーキ弁の弁棒に1カ所穴を開けて、ジョイント金具を取り付けられるようにします。ただ3ミリの穴を開けるだけですが、鉄ムクなので時間がかかります。


ブレーキ弁の下に可変抵抗器を取り付けるためのアルミ板を切りだしている画像です

 弁棒を下側で受け、可変抵抗器を取り付けるためのアルミ板を切っているところです。この辺は外から見えないので、結構適当です。


切り出したアルミ板に可変抵抗器を取り付けるための穴を開けている画像です

 切り出したアルミ板に可変抵抗器の取り付け穴を開けます。また回り止めの穴、アルミ板自身を取り付けるための穴もこの時にいっしょに開けておきます。


可変抵抗器とブレーキ弁棒にジョイント金具を取り付けている画像です

 アルミ板に可変抵抗器(50オーム、5W)と、ジョイント金具、ブレーキ弁棒にジョイント金具をそれぞれ取り付けます。ブレーキ弁棒のジョイント金具は、ゆるむと締め直しがききにくいので、バネ座金を入れてゆるまないようにしっかり締めつけます。


ブレーキ弁棒と可変抵抗器のジョイントをつないでいる画像です

 ブレーキ弁棒をブレーキ弁本体に差し込み、下に出たジョイント金具と、可変抵抗器のジョイント金具をつなぎます。この時ブレーキユルメの位置で、マイクロスイッチを押せるように、止めねじを長いものにしておき、さらに位置を考慮しておく必要があります。ブレーキ弁にはハンドルをはめておき、位置を確認しながら作業を進めます。


可変抵抗器を取り付けたアルミ板を支える角材を仮止めしている画像です

 アルミ板を天板に取り付けるため、角材のスペーサをかませて、接着剤で仮止めしているところです。


アルミ板を天板にL字金具で止め付けている画像です

 もちろん接着剤だけでは、重いブレーキ弁の弁棒とハンドルの重量の一部を支えきれないので、L字金具で補強します。ここら辺はかなり微妙な現物合わせ作業が続きます。


底板にゴム足を取り付けている画像です

 底板の加工にかかります。底板にはゴム足を5カ所に取り付けます。下穴をキリで開けて、木ねじで止めます。


底板を仮付けしている画像です

 底板が出来上がったところで、四角い箱になるように組み立てます。寸法の大きなずれは、ハンドルの操作感に影響するので、気を使います。


マスコンの回転軸にノッチを刻む穴を開けている画像です

 マスコンハンドルの回転軸にノッチを刻んでいるところです。右側の大型マイクロスイッチの内蔵バネをノッチとして使います。ドリルでさらった穴をモーターツールで少し拡大します。


マスコンハンドルのストッパーになる金具にゴム板を取り付けている画像です

 マスコンハンドルはストッパーがないと、どこまでも回ってしまいますので、棚受け金具で簡単にストッパーを設けます。ハンドルのあたる面にはゴム板を貼り付けて、衝撃の吸収とハンドルのキズを防ぎます。本当は内部に設けたいところですが、適当な方法が見つからず、このようにせざるを得ませんでした。


マスコンハンドルのストッパーを取り付けている画像です

 所定の位置になるように調整しながら、ハンドルのストッパーを取り付けます。普通に木ねじ止めです。


マスコンハンドルの位置検出用のマイクロスイッチを取り付けている画像です

 マスコンは回転軸にねじをねじ込み、その頭でマイクロスイッチを押すことで、ノッチの進段を検出させるため、ねじの頭が所定のノッチの時にちゃんとマイクロスイッチを押すように調整しなくてはなりません。これはよく調整しておかないと後々困るので、テスターでマイクロスイッチの作動をチェックしながら進めます。マスコンの回転軸は、画像では見えませんが、下側から立てたピンで支えてあり、勝手にずれないようにはしてあります。


完成したトランジスタコントローラの木部の画像です

 完成したトランジスタコントローラ木部。


前板に穴を開けている画像です

 最後に前板を取り付けますが、今後のトランジスタの取り付けなどの配線工事を考え、穴あけだけにとどめ、あとは友人の手にゆだねます。


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