2009年・産まれた卵の観察日記続き



 7月20日。南側、相変わらず卵からヒナが、1羽かえりません。産まれた方のヒナは、なんとなく動きが良くないので、よくよく巣をのぞき込んでみますと、なんと巣材として使われているザルの目が粗い部分があり、そこから小さな足が下に落ち込んでいます。これで動きにくくなっていたのですね。親鳩さんが外に出た時を見計らって、急ぎ足を抜いてあげました。次いで卵をつまみあげ、チェックしようとしてみましたが、ライトを当てても、曇り空にかざしても、中身は透けて見えません。耳を当てても音がするわけでもなく…。それなりの重量はありそうなんですが…。
 とりあえず産まれた方のヒナが、また足を落ち込ませるといけないので、巣の下面に何か敷くことにしました。ちょうどいいものは無いかと探して、ボロになったふきんがあったのでそれに決定。親鳩さんの脇から布を入れようとすると、さすがに親鳩はびっくりして、目隠し用のすだれを押しのけて飛んでいってしまいました。まあしかし、仕方がないので、布をザルの真ん中に敷き、ヒナを上に載せておきました。卵のほうはどうしようかと、一瞬迷ったのですが、完全にダメという確証もなかったので、ひとまずヒナのうしろに戻しておきました。日数からして、もう厳しいと思いますが…。
 北側は、やや長い間親鳩がヒナから離れています。ヒナ同士は、つつき合いのまねごと?らしいことをしています。そろそろ給餌の時以外は、親鳩は離れている練習でしょうか。巣箱の上に載っているのは、窓ガラス越しにうっすらとわかりますが(窓ガラスは模様ガラスなので、直接は見えません)。
 南側の親鳩さんは、飛んでいったままなかなか帰ってきません。警戒しているのでしょうか。対面棟の屋根上に行ったまま、30分ほどかかって帰ってきました。しかし巣に入るとき、見慣れない布が敷かれているので、なかなか中に入りませんでした。
 北側の親鳩さんは、結局3時間ほど巣の箱の上に載っていましたが、夕方には中に戻って、ピジョンミルクをヒナにやっていました。そう言えば、前の日から、巣と反対側の端に、小さな水入れを置いてあります。今日はあまり飲まなかったようですが。

 7月21日。朝5時20分頃、南側の巣から、やおら親鳩さんが飛び立ったと思ったら、卵を胸につけています。どうやってつけているのか…。とにかく胸にぶら下げています。びっくりしてベランダ出入り口まで行き、とってあげられないかと、餌を少量撒いて呼び寄せようとしましたが、上の屋根に上がってしまい、次いで斜め下に降りようとして、卵を落としてしまいました。おそらく卵を抱いたまま飛んだところ、胸にくっついてしまったということなのでしょうが、とにかく卵の行方を見届けないわけにも行きません。しかしここは6階。もちろん卵は割れてしまっているでしょうが…。
 急いでエレベータで下り、真下の芝生のところへ見に行きました。うちの真下にあたるあたりに、白い物が落ちているのが、遠目にもわかります。ヒナの形を成していることもありうるという「覚悟」を決めて、そっと近寄りました。すると…。完全に腐ってしまっています。中身が緑色に変色しており、しかし一方、無精卵だったのか、あるいは発生のごく初期にダメになったのか、黄身がそのまま変色したような状態です。残念ですが、そもそもかえらない卵だったということです。しかたなく手でなるべく拾い集め、うちが管理している花壇の隅に、穴を掘って埋めました。
 これで南側は、ヒナ1羽のみということになりますが、ヒナは元気です。昼になってあらためて確認しますと、驚くほど大きくなって、目も少し開いています。親鳩さんも、ベランダに餌を出しますと、必ずと言っていいほど、巣からすたこらやって来て食べ、運動なのか、屋根に上がってしばらく散歩?してからまた帰ってきます。

南側親鳩の画像です

 これは南側の親鳩さん。

南側ヒナの画像です

 南側ヒナの状態。この時少し布の位置を直しました。まだまだ肌が透けて見えます。7月21日昼間。
 北側もモニタで確認しますと、親鳩さんは付き添っていますが、少し親鳩の下は窮屈そうでもあります。親鳩さんの足の一部が白いので、時によって卵に見えることがあり、一瞬びっくりします。

 7月22日。今日は皆既日食。11時30分頃、天気は曇りながら、やや空が暗くなり、間もなく元に戻りました。特に鳩さんたちには影響ありませんでした。
 北側の親鳩さんは、出かけている時間がやや長くなってきました。早朝からしばらく親鳩さんが留守になり、昼前に戻ってくるというような様子でしたが、ヒナは普通に元気です。

北側ヒナの画像です

 金色の毛のところが、2羽の頭です。互い違い向き。巣がだんだん汚い…。つっつき合ったり、小さな羽を広げることもあります。
 南側の親鳩さん、明け方に巣の左側にある鉄製花台の下にジャンプし、そこにある空いた植木鉢の縁にじっと止まっていました。ここから直接外には出られませんが、もしかすると、ヒナを外気に慣れさせる練習をしているのかも。
 下では草刈りをずっとやっており、今日もうるさいです。

北側ヒナの画像です

 北側ヒナのアップ。体の側面の黒い「L字」形は、出来つつある翼です。

 7月23日。南側、明け方に親鳩さんが飛んで行ってから、長い時間戻ってきません。

南側ヒナの画像です

 北側と南側で、それほど大きな違いはないですね。このあと、そっとこのヒナを手に載せて、よくよく観察しましたが、羽のさやが出て来つつあり、確実に成長しています。毎日驚く早さ…。翼の形も出来て来ています。そのうも丸々としているので、親鳩は給餌の時以外留守にしていても、もうそろそろいいのかもしれません。とは言え、北側はまだ親鳩さんがいっしょにいる時間は長く、頻繁にオスメス交代もするのと、なにしろ羽毛がまだまだちゃんとはえてなく、肌丸出しのようなものなので、温度変化に弱そうですから、そこはちょっと心配ですが…。

北側ヒナの画像です

 北側ヒナ。親鳩さんが留守の時に撮影しましたが、2枚上の画像で手前の個体とは、違う個体かもしれません。多少生育が、この手前のヒナのほうがいいように思えます。先に産まれたヒナかも。7月23日昼間。

 さて、夕方になりましたが、南側の親鳩は、餌場の近くにいるものの、別の鳩といちゃいちゃするばかりで、巣に入ろうとしません。ヒナは見る限り、そのうはよく膨らんでいますし、元気もあり、手のひらに載せると、指をクチバシでつついたりします。

南側ヒナの画像です

 目の脇の穴は耳の穴。手のひらに載るほど小さいですが、羽のさやはきちんと出てきています。7月23日夕刻。
 とうとう今夜は、夜になっても親鳩さんは戻ってきませんでした。上の画像のヒナはひとりぼっち。何しろ1羽しかいないですし…。いつも出入りして、いろいろご教示願っている掲示板でお伺いを立てながら、いろいろ考えた結果、一晩箱に入れて保護することにしました。理由としては…、
1.北側より少し小さいこと。
2.1羽しかおらず、互いに温めあえないこと。
3.この日は最低気温24度と、この季節としてはやや低めなこと。
4.雨が降ったりやんだりの不安定な天気。
5.高い湿度。
6.昨年ピヨスケが巣立ったときにも、一晩少しの時間保護したことがあったけれど、その時のピヨスケよりずっと小さい。
…というところです。
 どだい、産まれてから、長く見積もっても1週間ちょっとしかたっていないので、温度変化には弱い気がします。そのため20時から翌朝3時45分頃まで、小さめな段ボール箱に、人肌の微温湯を入れたペットボトルをいっしょに入れ、下には新聞紙とちぎったチラシを敷いて、側壁に温度計を貼り付け、ヒナをそっと入れました。一応1時間に1度くらい観察しましたが、特に変わった様子もなく、静かに眠っているかのようです。大きな呼吸をしているのは、いつもと同じ。フンも特に悪くありません。箱の中の温度は28度。時々「かさっ」と音を立てて動きます。もちろん暗い部屋に置き、確認するときは、薄暗いライトで、遠目から照らします。
 結局予定通り、3時45分頃巣に戻しました。そのうはだいぶへこんでしまいましたが、ぺちゃんこということはありませんでした。4時45分頃、親鳩が来て、給餌したようです。やれやれ…。


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