韓国鉄道庁1000系

 韓国の近郊路線電化の際に、日本でプロトタイプとして製作され、その後韓国国内でも量産された交直流電車です。
 車体は日本国鉄の103系や、301系に似た外観、車内をしていました。ただし、交直流電車なので、415系レベルの機能を持ち、主電動機もMT55を基本としながらも、多少出力アップが図られた120kwのものを付けています。このあたり、計画には上がっていながら、実現しないで終わった、日本国鉄の仮称105系(その後登場したものとは異なる)に通じるものを持っています。
 韓国鉄道庁1000系は、当初は4M2Tの6輌編成で、どうも両端がクハ、中間がモハユニット2組という、ごく普通の編成であったようです。また両端のクハともに1000形であったようですが、その後彼の地で10輌編成に組み替えられ、その際に複雑な改番が行われたらしく、かなり番号は変動しているようです。

韓国鉄道庁1000系の画像です

 正面のデザイン。日本国鉄の301系に似たデザインですが、デフロスタがあること(日本より寒冷な地ですので…)、ライトケースの形状、車体幅が広いこと(3120ミリとか)などで、細かい差異が見いだせます。韓国鉄道庁は「広軌」ですので、3線区間の工場内でも、両外のレールに載っています。
 塗色はスカ色に近い色で、若干クリームが薄めというところのようですが、韓国地下鉄も同形車を導入し、こちらも1000系ながら、番号はダブっており、塗色が濃い朱色とクリーム色になっていました。
 現在は一部の保存車や、わずかな転用車を除いて引退しています。

韓国鉄道庁1000系の画像です

 1041号他の6輌編成。日本で製造された最終編成のようですが、不確かです。側面は営団(当時)の5000系と、103系を合わせたような外観ですね。画像ではよく見えませんが、グローブ形ベンチレータを、103系と同じ位置に配置しています。後に冷房化されました。
 台車はKH−90形という日立製作所製のものを採用。シュリーレン形とDT33を合成したような外観をしています。
 性能は、日本国鉄415系のような交直流電車とされ、下枠交差形パンタを搭載。主電動機も日立製で、120kwになっています。
 日本国鉄の103系は、駅間が長く、高速で走る線区向けに、「仮称105系」の製作が取りざたされた時期がありました。110kwの103系用主電動機MT55を、MT54などに交換した形の新形式を登場させ、高速の伸びに劣る103系の走行性能改善を目指したようですが、結局標準化思想の前に、また103系でも極端な性能不足が無いと判断され、製作されませんでした。
 この韓国鉄道庁1000系は、その日本国鉄「仮称105系」を実現させたような性能であったと考えられます。彼の地では「初(期)抵抗」と呼ばれて、25年の法定耐用年数を全うしましたので、研修側、運転側の評判が極端に悪いということはなかったと思われますが、性能的にどうであったか、彼の地の鉄道関係者の方々の評判を聞いてみたくもありますね。
 韓国鉄道庁1000系の画像は、全て東急車輌構内にて、1976年頃、Fコレクションより。


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