ようやく今日の主役のはずの「タンコロ」こと、108号車保存車へ。旧江之島電氣鐵道が初のボギー車である100形、105形に続いて新製した106形の一員です。ATS装置の稼働とともに引退し、以来ずっとこの極楽寺工場で保存されてきました。同形の107号は、鎌倉市に寄贈され、鎌倉海浜公園の一角に保存されています。そちらは基本的に毎日公開されています。
108号は、新潟鐵工所製で、路面電車然とした形態です。106形のうち、106と109は連接化改造がなされ、304−354号として長く活躍しました。
車内をのぞいてみましょう。こちら側は上り方(上の画像で見えている運転台側)の櫛ゲタ部です。禁煙札にも鎌倉名物の広告が入っているのが珍しいですね。中央の白いものは予備灯でしょうか。車内車号板は木製で、手書き文字というところがなかなか味があります。その左側には銘板があったようですが、残念ながら失われています。それにしても「江ノ電ツーリスト」という旅行社は、今でもあるのでしょうか。
その予備灯のようなものの表面には、菊の花のような模様が刻まれています。様子からして予備灯だと思うのですが…。昔はこんなところにも装飾をしていた、ということですね。マイナスネジが時代がかっています。
マスコンとブレーキ。マスコンは直接制御なので大きいです。手動進段なので、ノッチは1つずつゆっくり回す必要があります。右のブレーキ弁は路面電車タイプで、その後300形のものとは、ハンドルからして異なるはずです。メーターは圧力計が1つのみ。速度計などはありません。驚きのシンプルさ。
車内灯などと天井部。吊り手棒が樫木でできており、金属でないことに驚きです。車内灯も白熱灯で、1ずつグローブに入っていますが、あまり明るくなさそう。基本的に白と木部はニス塗りの色づかいです。