2005年11月11日号

中高年男女グループパワー

 
  中高年男女グループパワー
 

 近くの駅の地下街に、なかなか味の良いイタリア風レストランがある。ここの店長さんや、お店の人々とは、けっこう顔なじみで、いくつか定番のメニューをよく注文するのだが、ここはお店がそれなりに広いせいもあるのか、平日の午後ともなると、どこからともなくやってくる、5〜10人くらいのグループ客に、一角のテーブルを占領されていることがよくある。
 この地下街は、今のところエスカレータやエレベータはないので、あまりバリアフリーとは言えないが、けっこう高齢の人も目立つ。一つには、あまりこの近辺で、ちゃんとした食堂街がないこともあげられよう。わが町は、かなり「学生街」なのだ。
 南には割と有名な私立の専門大学と、私立の女子学校。北にも同じような私立女子学校がある。「街」の要素に、あまり中・高校生の集まる学校は、関係ないようにも思うが、携帯、CD、文具、雑貨、書籍…など、大学生でなくとも、消費するものは意外に多い。
 なので、結局大きな専門大学一つで、この学生街が構成されているわけでもなさそうだ。
 少し話がそれたが、そういう経緯のある街だからか、大人が食事や談笑の時間を過ごす、ちゃんとした食堂街が、少ないのは事実だ。

 しかしここで問題になるのは、どうしてああ女性客のグループというのは、やたらやかましく、マナーをわきまえないのだろうか?ということである。これは酔ったオヤジだって同じではないかと言うことが出来ようが、そういう人々は、あとで述べる例を除いては、昼間のレストランに、多人数で陣取ったりしない。
 ところが女性グループ客というと、平日は比較的高齢の人々、休日は若手の人々が、着実にやってくる。もはや、そこを何かの会議場のように思っているようである。
 よく出くわすグループは、どうもどこかのカルチャースクールや、何かの教室が終わって、そのあと食事や喫茶を兼ねて…という具合らしい。
 こういう人々は、やおらワインやビールなどを注文し、時間はお構いなしに、声高に何時間もしゃべり続け、回りでは、普通の声での会話に苦労するほどの音量である。さらに中にはコーヒー一杯しか注文しない人もおり、テーブルの回転率は、すこぶる悪い。
 だが、お店のほうとしては、それを帰れとも言えないし、もう少しいろいろ注文して下さいよとも、まとめて注文願いますとも言えないだろう。
 それを逆手に取っているのかどうだかわからないけれど、好き勝手にまとまりのない注文を、アルバイトのウエイトレス氏が、困惑するくらい出し、それでいてグループによっては、コーヒーや、ソーダ水的なメニューで何時間も粘る。そして大騒音をまき散らす。
 こういうグループ客に共通するのは、決まって、1.男性は一人もいない、2.小さい子どももいない、3.回りが全く透明化しているかのような大音量でしゃべり続ける、4.食べ物が運ばれてくると少し静かになる…である。これはもう、ハンコで押したように共通しているのが、はたで見ていると少しおかしい。
 では、レストランは女性グループ客であった。それならソバ屋はどうなのか?。
 ソバ屋にはそういう客はいなくて、静かに個人客がソバをすすって、すっと立つのかと思いきや、ここには土休日を中心に、酒を飲んで、これまた店じゅうを騒々しくするおっさんの群れが存在していた。これらの人々は、4人くらいのグループで、やはりお酒が入っているせいなのか、お店の人に軽口を叩いたり、あまつさえ他の客にちょっかいを出したりという、「悪質」なグループすらある。こういう連中と近所になると、ソバの味は確実に落ちる。
 どうもこれらの事象を考えるにつけ、中年から高年世代の、お店での態度というようなことには、今一度「道徳教育」が必要なのではないか…、親世代の教育がなっていないのか?と、困った気分にさせられるのである。
 どうも中高年世代は、「よく考えない」人が多いようにも思う。「回りの迷惑」ということを。そんなの若者だって同じじゃないか、世代で違いなんてありはしない、と言えば、それもそうかもしれないが、その若者たちに、範を示すべき世代は、特に中高年世代と思えるのに、こういうことでは情けない。まるで夜の居酒屋じゃあるまいし…、と思う。
 それにみんな統一的にそう、というのが案外不気味でもある。まあ集団心理もあろうから、多少は仕方ないとも言えるけれど、回りがどう思っているか、店に必要以上の気を使わせていないか位の気遣いは、持っていただきたいものだ。幼稚園児じゃないのだから…。

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