2005年1月14日号

花開く冬のアサガオの謎

 
  花開く冬のアサガオの謎
 

 昨年は、記録続きの高温傾向で、たくさんの台風や、旱害(ひでりがい)、あるいは逆に豪雨に悩まされた日本であったが、東京は、12月になっても25度近くの日があったりして、これまたとんでもない陽気であった。
 さすがにそれは12月の終わりになるころから、平年並みになりつつあり、まあ、一応冬らしい冬になりそうである。
 そんな中、なんと11月になってから、アサガオのこぼれ種が発芽し、いったいどうなるのだろうと思いつつ、植え替えて、家の中に取り込み、比較的よく日の当たる出窓のところに、はわせるようにした話は、前々回くらいに書いた。
 アサガオは、花ができる過程としては、短日植物のような気がするから、冬至を過ぎて、だんだん長日になっていく中で、果たして花が咲くのかどうか、疑問に思ったものだが、うちは宵っ張りで、夜中の3時4時になっても、出窓のあるリビングの明かりはともったままのことが多い。すると、この光が、アサガオにとって、どのように作用するかは未知数であった。
 ところが…、なんと1月2日、新年を祝うかのように、開花したのである!。まさしく、冬のアサガオが。
 濃い紫色の、昨年夏に植えたのと同じ形質をもつアサガオが、そのまま冬のリビングに咲いているという、聞いたこともないような状況となった。
 つるはどんどんと伸びていくので、窓の上にあるカーテンレールに、何本ものヒモを渡して、それにはわせるようして、さらには、その伸びていく芽を、ある程度の高さで摘んでしまい、脇芽を伸ばすようにしたところ、いくつかつぼみが出来始め、しかし、初期のそれは、黄色くなって枯れていった。そのため、開花までは行かないかに思われたが、やがてそれはしっかりしたものになっていき、ついに咲いたというわけである。

 アサガオは、その名の通り、朝に咲いて、昼間までにはしぼんでしまうものである。だが、夏に普通に育てられるアサガオでも、曇りの日には、昼間になっても咲いていることがある。また半ば野生化したような、捨て植えのものは、よけいにその傾向が強いようである。すると、開花に影響する光の強さは、かなり大きいのかもしれないと思う。つまり光の強さが、開花の時間に影響するのでは?ということである。
 そう考えれば、リビングの蛍光灯の光など、あまり関係ないのかもしれないが、面白いことに、今咲いているアサガオは、特に午前中にしか咲かないわけではない。
 確かに最初のうちは、1輪ずつ咲いていたので、おおむね午前から昼頃までに咲く場合が多かったのであるが、次々と咲くようになってきたここ一週間ほどは、けっこうずれて咲くことが多くなり、特に昼間ということすらなく、場合によっては夜間に咲いて、すぐにしぼんでしまうことすらある。
 これはいったい、どういうことなのだろう?。
 開花のリズムづくりに、強い光が必要だとすれば、やはり冬のアサガオが、夜中に咲いたりするのは、夜間の蛍光灯下は弱い光なので、その開花リズムがやや狂っているということなのか?。
 昨日のことだが、昼間出かける前に見たら、3つの花が同時に咲きそうになっていた。帰ってきて、夜頃に開くだろうと予想して出かけ、実際に帰ってきて、見たらほとんどそのままだった。それで安心して、遅い夕食の時間になるまで、雑事に追われて見ないでいたら、気付いたときには、咲いて、さらに終わってしぼんでいた。それはもう、あっという間の出来事だったらしい。実際の開花時間は、おそらく夜の7時頃から9時頃の、わずか2時間ほどではなかったか?。
 せっかく珍しくこちら向きの花が並んでいたので、撮影などしようかと思っていた矢先のことであった。非常に残念である。
 花の向きは、光に関係ないのかと思いきや、これは夏と同じく、窓のほうを向いたものが、圧倒的に多い。花そのものに光を感ずる場所があるとは思えないから、葉やつぼみのどこかの部分に、光を感ずるところがあって、光の方向に花を向けるのだろう。
 もっとも、そもそも冬に咲く植物ではないのであるから、そのこと自体イレギュラーなことであり、花が楽しめているだけで、十分ではあるのだが…。
 冬のアサガオは、夏のそれと違って、普段あまり意識しないようなことを、通常と違う生育をすることによって、見せてくれるような気がする。まるで人に、視点を換えて見よと、すすめるかのように…。

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