2003年12月5日号

風邪の季節

 
    風邪の季節  
  
  
  今年も初冬に入り、紅葉も終わりに向かう頃になってきた。いよいよ本格的な風邪の季節である。
 今年は特に、新型肺炎とインフルエンザが、同時流行するのではと言われていて、インフルエンザの予防接種が盛んな様子である。私も一応1回受けた。
  テレビでは九月初めから、風邪薬のコマーシャルが流れる。これは急に涼しい日があったりして、風邪をひく人が多いからであろうが、私の場合は実際に「やばいかな」という感じになるのは、やはり十一月になってからがほとんどだ。それは、秋口よりは気温の上下が激しくなり、冷えを感じることと、回りに風邪をひいた人々が、どうしても増えることに関係があるのだろうと思う。
  そうした季節の変化に、ただ手をこまねいているわけではない。マスクをしたり、手を洗ったり、うがいをしたりという基本は、忠実におさえているつもりである。それでも風邪のウィルスや菌は、どこからともなく確実にやってくる。気が付くと、喉が痛くなってきて、風邪にやられてしまう。なんだか基礎体力が不足しているのかとも思う。
  どうもかかりつけの医師によると、喉は弱いそうである。それはそうかもしれない。だから、なるべく他人から菌をもらわないようにということは、気を使う。あまり咳をしている人のそばには行かないで逃げる。しかし、ところかまわず大きな咳をして、風邪菌をまき散らす、傍若無人な人も近頃多くなった気がする。あれはちょっといかがなものかとは思うが、本人にすれば苦しいのであろうから、ある程度仕方ないとも思う。ただ他人にうつさないという効果はあまり期待できないとしても、自分の喉や気道を守るためにはなるので、マスクくらいはして、無用に人にうつしたり、自分も長引かせないほうが、最終的に不景気なこの国や家計の、経済的損失防止になるのではないか。
 自分の話に戻るが、風邪をもらって来やすい喉・体というのは、ある程度生まれつきのようだから、なるべくこちら側で防ぐしかない。他人や医師に頼る筋合いのものでも無かろう。そもそも低温・乾燥という、室外では調節が困難な要因もある。結局外からやってくる原因に対して、どう対処できるかという、一種「自己危機管理能力」の問題なのであろう。
  インフルエンザは本来風邪とは違うが、有効な薬が近年開発され、実用化された。同じ上気道に影響の大きい病気としては、私のような「風邪っぴき野郎」にとって、ここ数年受けるようにしている予防接種とともに、心強い話だ。
  もっとも、風邪をひいても、インフルエンザになっても、幸いあまり激症になったことはなく、熱も三十九度を越えることは、きわめて稀である。つまり「なかなかひかないが、ひとたびひくとひどい」というタイプではなく、「しょっちゅうひいているが、ひいてもあまりひどくない」というタイプのようだ。それはそれですんでいるのだから、いいと言うべきかもしれない。それだけ回復も早いときは早い。
 夏の終わりに西伊豆へ行ったとき、現地に着いた翌日、曇り日の中で潜って遊んだら、次の朝には喉が痛み、いつもの風邪パターンになりそうであった。しかしさらに次の日には、回復に向かわせ、釣りもできたし、翌々日には再度水泳もできた。やはりある程度は「気力」の問題もあるようである。「こんな時に風邪をひいてはいられない」という思いが、あるいは免疫力を高めるのかもしれない。
 そのほか適切な薬の使い方というのも、あると思われる。私はよく風邪のひき始めっぽい時に、某社の「葛根湯」(かっこんとう)をのむ。それといっしょにビタミンC錠を、所定量の1.5倍程度のむ。これがなかなか効果的だ。
 ビタミンCは、普通の市販のもので、これの一日量が6錠だとすれば、1.5倍の9錠になるようにのむのである。市販の総合感冒薬より、場合によっては、ビタミンCだけでも効果があると思える。またもし風邪をひいてしまっても、症状を軽くすることができるような気もする。
 まあこの辺は、人によっても違うし、プラシーボ効果ということもあるかもしれないが…。
  いずれにせよ、冬いかに風邪をひかないで済ませるか。うがいや手洗いといった対策と、ある程度のあきらめと、あとは自分の弱い喉と、免疫力、それにある種の気の持ちよう、葛根湯、ビタミンCに、頼るのみである。 

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