ニッパチ月より5月?
先日タクシーに乗って、運転手氏と話をしていたら、今まで想像もしなかったようなことを言われた。
「日曜日の夜は、お客さんいないんですよねぇ…。それと、五月はゴールデンウイークで、みなさんお金使ったあとだからか、よけいに夜のお客さんが少なくて…。実際、昔から『ニッパチ月』(2,8月の意味)と言いますが、本当につらいのは5月の連休明けなんですよ…」
ニッパチ月(がつ)というのは、一般に2月と8月の、物流やお金の流れが悪くなり、一時的な「不景気」状態になることをさして言うようだ。
実際、私が「マニアものフリーマーケット」に参加していた頃も、2月のイベントは、売り上げがやや悪かった。8月はそれほどでもなかったのだが。まあしかし、私は商売でやっているわけではなく、「趣味のフリマ」程度のものだから、それでどうということはない。疲労感が違う程度のことである。
さてしかし、この運転手氏の言う、5月が本当の時期的不景気だという説は、本当だろうかと考えてみる。
確かに行楽地に出かけたあとだから、みんなサイフのヒモが固くなり、タクシーに乗らなくなるということはあるかもしれない。一方、タクシーの実車率(お客を乗せているか、乗せていないかの比率)は、社会の景気を的確に反映するとも言われている。
テレビで景気の話をするとき、駅前のタクシー運転手氏にインタビューして、「最近どうですか?」などと聞き、それに対して、「いや〜、政府は景気回復と言うけど、まだまだだね」などと運転手氏が答えるというシーンは、よく目にするから、タクシーに人々がどのくらい乗るかというのは、景気のバロメーターと考えて良さそうだ。
…とすると、この私が乗ったタクシーの、5月不景気説は、信頼するに足る情報かもしれない。もっとも、一般的に考えても、連休明けにどんどんタクシーを利用する人が、増えるとは思えないけれど…。ビジネス利用の人はともかく。
他のデータは、もう少しいろいろないだろうかと思っていたら、ふと自分のサイトのアクセス状況はどうか、と思い立った。この創作のページも含めて、データを置いているサーバーは、アクセス状況を示すページがある。そこのデータから、普段と異なる傾向があるか見てみることにした。
うちのサイトは、マイナーな話題を扱っているせいか、特に人気サイトということもなく、至ってアクセスは「平穏」そのものである。平たく言えば、「あまり人はこない」ということでもある。ただ、検索サイトなどから、直接途中のページに飛んでくる人が多いので、トップページのカウンタは、あまりあてにならない。そのため、どのくらいのページ数で、どのくらいのデータ量が読まれたか?ということがわかる必要がある。そうなると、やはりサーバーに蓄積されたデータを、所定のページから読むしかない。
それによると、ゴールデンウイークの数日前は、いつもより、「チラ見」程度で去っていく人が、やや多くなる傾向が見て取れた。閲覧ページ数も少なく、データ量も少ない日が、特異的に多い。ところがゴールデンウイーク寸前になると、逆に閲覧ページ数は増え、じっくり見る人が多くなる。そしてゴールデンウイーク中も、その傾向は続く。
ゴールデンウイーク中に、外出先から延々と接続するというのは、現状であまり考えにくい状況なので、こうしたアクセスの増加は、いずれも自宅からのアクセスと考えていいだろう。
他に目を転ずると、ネットオークションが意外に活況だったのが目を引く。
通常、オークションの出品・落札・高値は、盆暮れには、低調になり、それらの明けから徐々に元に戻る傾向があり、給料日後はやや高め、月半ばはやや低め、ボーナス前後は活況…などの時期的変動がある。
ところがこの原則で行くと、ゴールデンウイーク中は、盆暮れと同じと思いがちだが、それはそうでもなく、かえっていつもより活況を呈していたような感じであった。これは今年が、ということでもなく、去年も同様であったと記憶する。
これらを総合すると、ゴールデンウイーク中は、海外旅行やテーマパークなどにお金を使ったので、終わったらじっくり家でネットを見てすごそうという人が多い反面、ゴールデンウイーク中も、混雑を嫌って、外出は控えてネット三昧という人が、思いのほか多いことを物語る。
なるほどこれらは全て「おうちで完結」してしまう、ささやかな余暇の過ごし方であり、結果的にゴールデンウイーク明けのタクシー乗車率も、下がろうというものかもしれない。
とすれば、このところのタクシーは、大げさに言うと、少なくとも昼間は青息吐息で走っているということにもなろうか。
ニッパチ月につづいて、最近は5月も不景気。ネット普及と、多少関係もありそうだが、麻雀で言えば、「リャン・ウー・パー(2,5,8)の筋か…」、などといい加減なことを言ってしまう、天気の悪い5月である。 |