台風ゾロゾロ
今年は、まったく台風の当たり年である。9月上旬までで、7個も日本列島に上陸したのは、観測史上初めてだそうである。もっとも台風のシーズンは、まだまだ続くので、これからもこの数字は、増える危険がある。
なんだかこの台風の上陸数に限らず、観測史上初めて…というのが、最近とみに多くなっていて、とても気になる。だいたい今年の、「都下真夏日連続記録40日」というのも、記録を更新しているのだ。
台風がぞろぞろ上陸するのもさることながら、日本列島の近所で出来た台風が、すぐやってきたり、やたら発達して、超大型化し、それで九州のほうから列島を総なめにしていくようなのが、最近の特徴のようにも思える。この理由はどうしてなのか。
台風というものは、熱帯低気圧が、高い海水温で勢力を強めたもの。ということは、海水温が高いほど、発生した台風が大形化するということである。
昔の夏の台風は、日本のはるか南海上ででき、しかし日本列島上空には、夏の高気圧が居座っているため、そのへりを回るようにしか動けず、たいていは西へ向かって、そのまま大陸に上陸するなどして消滅するものであった。
秋になると高気圧の勢力が弱り、移動性になるので、日本列島に向かってくるものが、夏よりずっと増えるというものである。
それが今年のように、日本列島に近づくまでに10日近くもかかり、それで急に北に進路を反転し、そのまま今度は東に向かって、日本列島に襲いかかるというパターンは、高気圧のへりを回るという性質と、偏西風に乗るということのもたらす結果だとはいえ、今まであまり聞かないのではないか。それが毎回のように同じコースで来るのだから、これはたまらない。
そもそも今年は、都内の梅雨明けは、実際には6月28日だったのではないかと思われる。気象庁の発表では、7月半ばということになっているが、もうとっくに夏まっさかりの天気になっていた。すなわちこれは、「空梅雨」である。雨らしい雨は、かえって5月頃のほうが降っていた気がするし、5月下旬に晴れの日が少なかったから、あるいは梅雨入りは、5月下旬だったのかもしれない。こういう数字は、残念ながら気象庁の発表は、全くといっていいくらいアテにならない。いったい何を観測しているのだろうかと、疑問もわく。
だが、最近の気候は、なんだか全体に激しくなっており、これは100年単位くらいで変動している範囲なのか、それとも年々おかしくなっていっているのかは、わからない。サクラが平年より、2週間近くも早く咲いたり、2月が暖かめだったり、季節が少しずつ早めに回っている印象もある。
今、地球は温暖化しつつあるという。1年の平均気温が、少しずつ上昇しているというのだ。確かに1900年頃の気象からすると、年平均気温が上昇傾向にあるようだが、今後どのくらいそれが進むのか、予測数値はあるようだが、予測通りになるかどうかも含めて、よくわからない。
炭酸ガスの濃度が少しずつ濃くなっており、一方森林破壊は止まらないから、やがて人類は窒息して死ぬかもしれない。いい加減、くだらない戦争ばっかりやっている場合ではないのだが、某国の大統領などは、自国の兵士が1000人死んでも、戦争をやめようとは思わないらしい。
それはともかく、この温暖化が、台風の規模を大きくしたり、スピードをのろくしたり、偏西風に影響したりしているのではないか。だとすれば、今後毎年こういう台風被害は、どこにでも起こりうるということであり、国内産業に与える影響も大きいだけに、対策を真剣に考えなければならない。
例えば青森などでは、リンゴばかり作っていられないのではないかとも思うが、かといって、簡単に転作が出来るというものでもないわけで、一朝一夕に採れる対策など、ないに等しいというジレンマもある。何しろ気候の変化は、劇的かつ非常な速度なので、それにすぐ対応するのは、今の技術の発達速度では、無理かもしれない。するとどうするか。ただそのまま耐えるしかないのだろうか…。
地球温暖化は、いまや世界的な問題と言われている。当たり前である。地球という惑星1つの単位で起こる問題だからである。すると一国の問題ではないのだから、本来各国の利害を越えて対処しないとならないし、他国のことを無視して、自国の利益のみを追求しようとしても、やがてそれは自国に返ってくることになってしまう。
地球温暖化防止の、「京都議定書」に署名していない某大国も、今年巨大ハリケーンに何度かやられているようだが、「それ見たことか」と言われないように、すべきではないのか。
度重なる台風の襲撃で、東京も度々強風域に入ったものだから、せっかく作っていたアサガオが、めちゃくちゃになってしまった。濃い紫の花が咲くのだが、ツルになって伸びるところが切断されてしまい、かなり寂しい繁り方になっている。しかし、ウチはまだいい。せいぜい一年草が被害を受けている程度なのだから。鉢植えの大部分は、いよいよとなれば、室内に取り込める。
今年の台風では、国内でも死んだり、家を失ったりした人が、かなりたくさん出ている。異常気象全体で考えれば、外国でもだ。
自然のきまぐれは、どうしようもないものであるけれど、もしそれが、人間の加担したものであったとするなら…。それはやるせない気分になる。 |