2006年6月20日号

郵政サービスに望むこと

 
  郵政サービスに望むこと
 

 前回は、民営化が決まった郵政公社に対して、本当に市民が望む改革とは何か、について触れてみた。今の郵政公社には、ある「危うさ」があるように思うからだ。
 しかし、私たちが、実際的に望むことは、またそれとは違って、もっと具体的なものと考えられる。あまり対案や、具体的な改善提案をしないで、現状を憂いてみても、仕方あるまい。
 今回は、郵政公社の明日のために、私たちが望むと思える、いくつかの直接的な案、というか、アイディアについてまとめてみたい。

 そもそも郵便のサービスというのは、全国一律なサービスで、都内同士であろうと、北海道から沖縄へであろうと、小包などを除き、同じ料金で送れることになっている。これは便利である反面、不公平感がないとも言えないのではないか?。つまり同じ市内同士なら、もっと安い料金に出来ないのか、ということである。
 大口の企業などのDMなんぞには、相当な割引をしていると聞くが、私たち一般の庶民には、何も割引はない。それでいて、わずかではあるが、「不達」(届かない)という事故がある。これはちょっと、今時不公平+無責任なのではないか?。
 宅配便とは、料金も、仕訳の仕方も違うと言うのはわかるが、それにしても、郵便局で切手を買って、書状などにそれを貼って出すということは、輸送契約を結んだことにはならないのだろうか?。
 今時、中古のコンピュータ部品でも、ジャンク品以外は、数日から1月くらいの保証は付く。これは「部品が正常に作動することに、責任を一定期間持つ」ということで、それはお店としては当然のことと思える。
 つまりお客さんが、お金を払ったものについては、責任を持つというのが、サービスの基本ではないか?。ところが、郵便はどうだろう?。書留にしない限り、事故に対して、何の保証なければ、事故に対して補償もないのである。
 たかが葉書50円、封書80円からの料金で、無保証は当然、という考えであろうが、今時それはちょっと…という気もする。
 郵政公社の企業努力で登場した、エクスパック500という、便利な郵送手段は、おおむね歓迎的だけれども、それすらも、「配達記録郵便」になっただけであり、配達記録には、中身が壊れたなども含め、事故補償はないのである。
 それと、速達が遅延しても、払い戻しがないというのも不可解だ。
 JRの特急列車は、2時間遅れると「特」に「急」いでる状態ではなくなったとして、特急料金が払い戻される。JRの責任に帰することでなく、風水害や、踏切事故ででも、例外なく払い戻される。
 一方「速達」というのは、速く着くことを「期待」して、その速度に割り増しの料金を支払うのだから、その速度が「通常速度」になった場合は、料金を払い戻すべきではないのだろうか?。一度「速達」なのに、3日以上かかったときには、払い戻すべきだと思った。
 郵便事故にしても、速達の遅延にしても、1通ずつは大した料金でなくても、ちりも積もれば…である。提供することを約束しているサービスには、もっと責任を持つべきだ。毎年、正月過ぎに、アルバイトが「面倒なので、年賀状を配達しないで捨てた」という事件が、報道されるにつけ、そういう思いを強くする。
 それに、この原稿を書いているさなか、週刊誌で「公社になってから、遅配・誤配が増えた」と報道されたのも、気になる。

 貯金にしても、もっとシステムを簡素化していいのではないだろうか?。そもそも“ぱるる”と郵便振替の違いがわからない。振替だと、「電信扱い」というのと、「文書扱い」というのがあり、電信扱いは手数料が100円(現在)に対して、ぱるるの送金手数料は120円(同)であり、文書扱いはもっと高い。もう、これも機械化されているのだし、速くて安いほうに統一すべきなのではないだろうか?。
 先日、ネットオークションの品物を、代引きで送って欲しいという依頼があり、郵便局に電話して聞いたところ、送金手数料は100円だと、1.電話に出た人、2.荷物を引き取りに来た人、3.お客様センターの人、全員が言っていた。ところが実際には、それは210円なのだそうで、3人が3人とも取り違えて覚えていたという事件があった。こういうことでは困る。が、職務怠慢というよりは、システムが複雑すぎるせいではないかと思える。人間、そんなになんでも全部は、覚えていられない。
 私は、システムとしての郵便が、廃止されればよいなどとは、一瞬たりとも思っていない。郵便のサービスには、また宅配便とは異なる意味があるはずだ。しかし、長年に渡り、染みついてしまった「お役所的体質」が、今だ残っているのもまた事実。それで民間会社に伍してやっていくのは、おそらく大変だろう。
 一般家庭への割引の導入、不達事故の根絶と、万一の場合の補償、システムの簡素化。まずは手近なところから、改善してはいかがか、とは思うところである。見込みがないと判断した組織に、改善提案などしようとは思うわけもない。

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