ミンキーモモのスクール水着姿

 さて、ミンキーモモさんには、「スクール水着」が似合わないのか、似合うのか。それを実際にイラストで検証してみたいと思います。

<スクール水着とは>
 スクール水着とは、「おおむね小中高校生が、学校での水泳授業時に着用することになっている、仕様統一的な水着のこと」と言えるでしょう。
 もともと、このような年少者用の水着は、古くは毛糸で作られていたりしましたが、戦後化学工業が発達したことにより、ナイロンなどの化繊が一般に浸透してきたことと、学校の設備が良くなっていき、プールを持つ学校が多くなったことにより、このような統一的な、かつストイックなフォルムの水着が作られるようになったと考えられます。
 形状そのものとしては、1936年に開催された「ベルリンオリンピック」における男女選手(男性も同形という点に注意)の水着が、その後2000年代初頭頃まで長く続く女子用スクール水着の形状と同形であったことから、その影響が考えられますが、当時の「競泳用水着のデザイン」が一つの流れとなったのではないかと思われます。これについては、もう少しあとで考察します。

 筆者の小学生時代(1970年代)は、既にこの種の水着は学校において一般的になっており、さらにはレジャープールや海岸などで着るのも当たり前でした。そのため、主として小学校でのバザーでは、サイズアウトしたものを後輩にゆずるため、無料から数十円で古物頒布したりもされていたという、今では考えられないこともありました。
 しかし、子どもたちの好みの変化、少子化の進行、親の意識変化や嗜好の変化により、現代においては、学校以外の場所でこの種の水着を着用した人を見かけることは極めて稀になっています。一方で、「コスプレ衣装」としての「流行」があるなど、混沌とした様子も見られるようです。

<外国の事情>
 外国にいわゆる「スクール水着」は存在するのか、消極的に調べてみたことはあるのですが、とりあえずオーストラリアには存在するようでした。彼の地への旅行パンフの表紙に、緑色の全く同じ水着を着て、同じスイムキャップを着けた子どもたちが写っているものがあり、わざわざ撮影用に持ち込んだとも思えませんから、学校等(例えばスイミングスクール)での指導で着用するのではと思います。
 また、近年の著名スポーツ用品メーカー製のものは、タグに国による寸法の換算が表記されているものがあり、それによると、日本の他カナダ、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアでは、少なくともこの種の水着がある程度普及しているものとも考えられます(国内の通販サイトなどでタグ表記を確認)。しかし、学校で制式品として採用しているのかどうかまではわかりません。

<現代のスクール水着事情など>
 スクール水着と一言で言っても、あるスパンでは改良が進められているようです。例えばそれは、素材の変化であったり、競泳用水着のデザインや素材感、作り方の移入による変化ということがあげられますが、そのほかでは、腰回りが見えている水着を、特に女児は恥ずかしがるとか、トイレの時に困るとか、近年の紫外線害からの、子どもの皮膚保護というような理由により、デザインも機能も、改良が加えられていく方向性が見て取れるようです。
 特に対紫外線ということでは、トップスがTシャツのような形状であったり、ボトムスも長ズボンのような形状のものも存在します。SPF値(Sun Protection Factor)50+をうたう製品もあります。
 このページの視読者で、学齢期の子どもさんがおられる方は少ないと思いますが、もしそういう方がおられましたら、子どもさんにはぜひ紫外線対策済みのものを買ってあげて下さい。近年の強い紫外線は、大人でも危険を感じます。

※当然ですが、本文・イラスト共に転載禁止です。



 さて、それではデザインごとに見てみましょう。

ミンキーモモスクール水着画像

 これは、近年でもごくベーシックなデザインのもの。胸元にはクラス、氏名などを書くための「伸縮性のあるアイロン接着ゼッケン」が付属していたり、別に売られていたりしますので、それには学校で指定された情報を書いておくようにします。かつては適当な伸縮性のある布が無く、木綿の白い布に書いて縫い付けたりしましたが、その部分だけ水着の伸縮性に差が発生するので、次第に伸縮性のあるアイロン接着布に取って代わられました。
 さらには、氏名などを書くことが、個人情報の漏洩につながりかねないという事情から、近年廃止している学校も少なくないようですが、一方万一の事故の場合などに必要であるとして、表記が必要と考える学校、また背中側を指定している学校もあるようです。

 かつてはこのデザインでも、主にナイロンで出来たもの(ポリエステルのものも)では、股の上部分に水抜きのための「かくし穴」があり、お尻の布を前に延長して、おなかの下側に空洞を設ける形で縫い付けることにより、胸などから入った水をうまく足の間へ排出し、泳力への影響を少なくする工夫がされたものが主流でしたが、素材にポリエステルやポリウレタンを使用することで、体への密着度を改善し、水への抵抗を減らすことで水抜きを廃止しているものが多くなりました。このイラストに描いたのは、そのような水抜き廃止タイプですが、バスト部分からすそに向けて、縫い目が正面側にあり、デザインとしては伝統的なものです(後ろ側は、両側面に縫い目を入れて、背骨の位置は全くの平面になっているのがほとんどです−−一部に背中中央に縫い目がある例外あり)。
 背中のくりは大きめになっているものが多いようですが、これは脱ぎ着をしやすくするためと、肩甲骨が出ているものは、手で水をかく時の抵抗を減らすためのものとのこと。逆に背中のくりが小さいものは、水中で肩紐がずれて脱げてしまいにくくするためです。
 肩紐部が背中でクロスするのは、クロスバックなどと呼ばれます。水中で脱げにくいように採用される場合があります。また肩紐が背中でV字形に身ごろにつながるものもあります(レーサーバックと呼称?)が、これは肩甲骨の動きを妨げにくくするためで、競泳用水着のデザインの逆導入かもしれません。
 イラストとしては、わかりやすいように、基本的に無背景に近くしてみましたが、水着そのものの色はもう少し明るい色に塗ったほうが、前側の縫い目がわかりやすいでしょうか。

 次に最近多い、黒色で肩周りが白いパイピングになっていて、さらに背中でV字形にそのパイピングがつながっているタイプ。

ミンキーモモのスクール水着画像

 割とスポーツブランドのものに多いデザインと思います。肩紐が白いと、少し競泳水着寄りの感じがするためか、泳ぎが得意に見えるかもしれません。ネームを記した「ゼッケン」は、このように腰やおなかに付ける場合もあるようです。女性の場合胸の部分が水の抵抗を受けやすいのだそうで(https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/122500025/030500007/による)、流体力学的?に考えれば、胸にでかでかと氏名などのゼッケンを貼るというのは、わざわざ泳ぎにくくしていることになりますが、学校としてはそこまで考えていないでしょうね。
 背中の中央でV字形に身ごろにつながるタイプの場合、肩紐は前から見ると「首寄り」を通る特徴があります。
 
 次に近年流行の「セパレーツタイプ」を描いてみました。

ミンキーモモスクール水着画像

 このタイプは、上下が別になっている「セパレーツタイプ」です。タンクトップのような上(いわゆる「ブラトップ」のように、モモくらいの年齢向けにはバスト部分にパッドが入ります)に、スカートとパンツがくっついたボトムス、あるいは、スカートの下にパンツをはくような形になっているものです。パンツはビキニ形とショートパンツ形があるようです。
 これは、やはりユーザーである子どもたちからの希望があったのだと思いますが、トイレに行く時など、ワンピース形の水着は脱ぎ着が不便という問題に対応するため、一時期流行した「タンキニ水着」の形状を応用したものと思われます。その他、体の線が出にくいので、児童・生徒の「恥ずかしい」という声にも応えたのでしょう。一説によると、最近は半数以上の学童が、このようなセパレーツタイプを選ぶそうです。事実であるなら、それまでのワンピース形スクール水着が、主役である児童・生徒の要望に応えられていなかったことは否めませんね。
 胸の中央部に、メーカーのロゴが入ることもあり、最近その程度の「ブランド表示」は、学校でも問題にされない様子が見て取れます。

ミンキーモモのスクール水着画像

 これはベーシックなデザインながら、サイドや肩部分に別な色をアクセントに入れてある例。比較的最近流行のパターンで、かつてはせいぜい白い線が前身頃に入る程度でした。特に女の子は、こういうちょっとした差別化に敏感なので、紺一色というのはどうもあまり好まれないのでしょう。この例ではブルーになっていますが、ピンクや白などもあります。レッグのカットも、少し深め(いわゆるハイレグ寄り)に描いてみましたが、実在する形態です。
 ヘアバンドには、造花のサクラなどあしらってみました。

ミンキーモモのスクール水着画像

 これをスクール水着と言うのか、という疑問が湧くかもしれませんが、きちんと「スクール水着」として実在する形態です。
 スクール水着の老舗メーカーのF社が、学校で使うスクール水着だって「かわいく着たい」というニーズを拾い上げ、制作したのがこのイラストのようなものだそうです。肩周りにフリル状の部分を設け、スカートも二重にしてひらひらとし、水中でも腰回りのラインが強調されること無く、存分に泳げるようにということのようです。そのため、この会社製品の特徴としては、スカートの位置をなるべく下のほうにし、「子どもっぽくならないように」したそうですので、意気込みが感じられるところです。また腰回りのラインがはっきり出るのは恥ずかしい、というニーズにも応えた形になっています。
 さっそく中国製の同様デザインのものも出回っているようですが、それらはスカートの位置がなるほど高めで、ちょっと幼い感じになってしまっています(もちろん、小さい子どもさんなら似合うと思いますが)。
 スクール水着ですので、色は紺と黒しかありませんが(他のデザインでは、緑やオレンジ、赤などいろいろあるようではあります)、ここでは黒で描いてみました。ミンキーモモさんには、黒が似合うようにも思います。

ミンキーモモのスクール水着画像

 先の知人氏(かつては同人)から、「代表的なスクール水着である『紺色のスカート型』は必要」とのリクエストをいただきましたので、描いてみました。ついでに胸のネームも、レトロ感が出るのかどうか、ひらがなにしています。
 かつてはこのようなデザインのものは、スカートのすそから股部分が少し見える形で、さらに素材がナイロン100パーセントだったりしたのですが、これは現代的なスカートが長めになって、腰回りが隠れるデザインのものです。素材もポリエステル100パーセントに改良されています。
 このタイプは、上下がつながっており、セパレーツにはなっていません。ただし、パンツは別に穿くタイプと、スカートにくっついているタイプと両方あります。
 関係ありませんが、モモさんは、瞳の色が神秘的ですね。


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