小田急NSE車3100系動力交換工事後編

 中村精密というメーカーの、小田急NSE車3100系ロマンスカーを入手し、動力装置を「ユニバーサル・トラクション」から、「MPギアシステム」に交換し、快調に走行させるという当初のもくろみは、うまく行くかに思えたのですが、モーターの大きさとトルクが小さかったため、1台のモーターで、6輌車体連接の編成を、ガーッと走行させることは出来ませんでした。そこでやむを得ず、片側先頭車のユニバーサル・トラクションを残し、合計2モーターということで、走行性能を一応確保しましたが、この状態では、前後の動力車で、性能がかなり異なり、2輌の動力車の協調性が問題となったり、ゆくゆくは特にユニバーサル・トラクションの耐久性が心配です(そもそもユニバーサル・トラクションを撤去するために、始めた工事ですし…)。ここまでが前編でした。

 さて、なんとか1組の動力装置で、編成全体を軽快に走らせる方法はないのだろうか。そう考えて、モーターをもう少し大形もしくは、大出力のものにして、1個のみ残る「ユニバーサル・トラクション」を、完全にやめる方向で検討しました。このロマンスカーは、低床車なので、あまり大きなモーターを床下につけることは出来ません。そのため小形で出力が大きいことが求められます。
 最近鉄道模型の世界でも、「コアレスモーター」という、これまでのモーターとは根本的に異なる構造のモーターが、SLのモーターを中心に、普及しつつあります。鉄道模型のモーターは、かなり遅れている(た)と言うべきなのかもしれませんが、コアレスモーターは、かなり高価であり、手軽に導入できないという事情と、特性上サイリスタパワーパックのような、パルス制御式のコントローラーでは、モーターを焼損する可能性があり、それらがネックとなり、今ひとつ導入が進まなかったということもあるかもしれません。
 
 しかし、うちで使っているパワーパックは、トランジスタ式のものもありますが、一応パルス制御式のものはありません。また、コアレスモーターは、起動トルクが、標準的なカン形モーターの、1.5〜数倍という高性能ぶりです。それらを考えると、このロマンスカーの動力には、小形で強力なコアレスモーターの取付が、安定走行のために、かなり効果的であると推定されました。

 それで、まずはモーターの選定から。電車用のMPギアシステムは、キャノン精機のEN−22というモーターを使うように設計されています。これは厚さの半分近くを床板に埋め込んで使う両軸モーターで、ユニバーサルジョイントで前後の台車に連動します。これと同等以上のパワーを持つ、「ファウルハーバー(ファウルハーベル)1524SR」というモーターが、片軸でサイズも小さく良さそうです。せっかく作ったアルミの床板を、ほとんど加工することなく利用できる様子なのもありがたいです。そこで、このモーターを買ってきました。「秋葉原モーター」は、1個200〜250円(!)ですが、1524SRは、1個約8200円…。この際、背に腹はかえられません…。


コアレスモーターとモーター台の画像です

1.立派なケースに入っているモーターを取り出し、適当なモーター台に取り付けます。ここでは寸法的にぴったりな、「珊瑚模型・C62モーター台」というのを使いました。これは自作してもいいのですが、コアレスモーターは、取り付けネジがかなりシビアで、ねじ込みすぎると、高いモーターを破損してしまいます。またネジの直径が1.7ミリと、あまり一般的な径ではありません。そこで精度のいい既製品を使います。
 上は床板、左上に見えているL字形のパーツは、今までのモーター台、下がモーター台に取り付けた、1524SRです。


モーター台を嵩上げするためのパーツの画像

2.ロマンスカーは、床が低いので、通常より深めにモーターを床にめり込ます必要があります。そのため2.5ミリ程度のアクリル板から、スペーサーを切りだし、それを介して床にモーターを取り付けます。またモーター台の下側が、わずかにモーターより出っ張るので、その部分を切っておきました。


モーター台のネジ穴を拡大している画像

3.このモーター台は、SLの棒形モーターを、カン形モーターに交換するときのためのものなので、SLの台枠下側からねじ止めする設計になっています。そのためモーター台そのものにネジが切られていますが、このロマンスカーでは、ネジを上から差し込んで、スペーサーを通し、床板にねじ止めすることになりますから、ネジ穴を2ミリのただの穴に拡大します。


床板にモーター取り付け穴を開けている画像

4.床板に新たに穴をあけ、ネジを切って、モーター取り付け台が付くようにします。


モーターを取り付けた画像です

5.モーターを2ミリ×5ミリのネジで取り付けます。わずかにネジが長く、モーターにユニバーサルジョイントをつけると、当たりそうなので、バネワッシャをかませて、ネジの先が床板から出ないようにします。


モーターの取り替えが完了した様子です

6.モーターの交換が完了しました。配線も元通りにし、ユニバーサルジョイントもつなぎ直します。下に取り外した「秋葉原モーター」。これもなかなかいいモーターなんですけどね。気動車や小形電車などには、細身でもあり、いろいろ使えると思います。


戻る 次のページへ