日本住宅公団が猫の飼養を認めていた証拠

 日本住宅公団(現:UR)は、1960年代頃建築の団地において、猫の飼育を認めていました。いつから不可になったのか、その理由も含めて調査できていませんが、当家が今も所有する、当時の賃貸借契約書に記述があるのを発見しました。これは抜粋の画像です。

公団団地が猫の飼育を認めていた当時の契約書画像

 赤い線はこの記事に掲載するため、画像に重ねたものです。背景の色が異なっているのは、この部分が同じ紙の表裏になっていて、ヤケがあるためです。この二から三項は省略して表示しています。
 この文が意味するところは、すなわち、
「第14条 借り主は、次の行為をしようとするときは、公団が定めた書面で承諾を得なければならない。(略) 四 小鳥、魚類および猫をのぞく動物を飼育しようとするとき。」
…ということです。わかりやすいように表現を少し変え、カタカナ書きをひらがな書きに変えましたが、つまりこれは、小鳥と魚類、猫は届出なしで飼って良いが、それ以外の動物を飼おうとするときは、書面提出の上許可を得よ、ということです。このことは、案外知られていないようなのと、今のURからすれば「信じられない」ようなことですが、この契約がいつまで有効だったか、もしかして建て替えで契約を更新する1993年まで有効だったのかなど、興味深い事実と思えます。

 最近URの賃貸マンションで、犬猫の飼養可という物件が、わずかではありますが、都内に存在しています。しかし、逆に考えると、他の住宅で許可しない理由もわかりません。単なる「面倒が増える」ことを嫌っているとも思えますが、実際ペットを巡る紛争は、案外多いので、URとしても二の足を踏んでいるという事情もあるでしょう。しかし、空き家率が高く、その分維持費がかさんでいる現状からすれば、現在ある団地・マンションでも、積極的に遡及改造や、棟を分けるなどの対策を講じて、ペット可の物件を大幅に増やし、少しでも空き家率を低下させる努力くらいは、するべきかと思います。またそのような対応は、高齢入居者の癒しの問題や孤立死問題にも寄与し、民間とは異なる住宅供給のあり方として望ましい形だと考えますが、どうでしょうね。


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