レプリカ品とその見分け方の例続き

B.レプリカ品の区別法

 レプリカを選別する方法を少し解説します。ある程度の参考にはなるかと思います。

レプリカ車号板と本物の画像です

 レプリカのクモハ115と実物のモハ112(下)。区別はクモハ115のほうが、やや全体に上下が詰まった文字。また「クモハ」の「ハ」の字が直線的で、ほとんど曲線を描いていない、ということが挙げられます。ただし、この場合は「モ」の字の下がはねていない、ということが条件の一つです。3ページ目でも解説しましたが、185系電車で、「モ」の字の下がはねており、なおかつ「ハ」の字の右側が直線的という実物が存在するためです。

レプリカ車号板と本物の画像です

 同じものを接写してみました。「ハ」の字が、上のクモハ115では特徴的に直線状であるのがわかります。ここは一つの見分けるポイントとなります。

本物車号板の画像です
レプリカ車号板の画像です

 とある急行電車の車号板で、当方が所有している実物(JRで更新時に取り付け、その後廃車で取り外され販売されたもの)と同じ番号のものが、オークションに出品されていました。その時の画像を部分引用させてもらいまして、比較してみましょう(画像引用:ヤフーオークション、2005.ヤフージャパン、東京)。
 同じ番号なのですが、番号まではここでは記載しないでおきます。上が実物、下が出品されていたレプリカです。やはり「ハ」の字が直線的なのが、レプリカの特徴です。結構な高値になっていましたが、落札した人は、レプリカとは知らずに持っているのでしょうね…。気の毒です。ただ、よくまねて作ってあるなという印象です。
 これらは掘り文字のタイプですが、裏側を見ることも一応重要です。というのは、掘り文字の場合、たいていは両面接着テープが併用されており、そのあとが残っていることが多いためです。しかし、それも絶対ではなく、両面テープ不使用の例(新幹線など)や、レプリカでも同様に両面テープを貼ってわざと汚してある例などが見られるためです。

 次にデカール文字タイプのレプリカとの比較を見てみましょう。

レプリカ車号板と実物の画像です

 サハ103−766、モハ103−1010、サハ103−754ということですが、中央のモハ103−1010のみが実物です。見分けは付きにくいですが、実物のほうが実使用に基づいて汚れや文字のはがれかかり、文字の並び不揃いなどがあるものです。レプリカ品(上と下)は、妙に「きれいすぎ」ます。

レプリカ車号板と実物の画像です

 これらを裏返しにすると…。上のサハ103−766はネジ穴があるほか、全く使用の痕跡がありません。下のサハ103−754に至っては、両面テープが貼ってありますが、その保護紙すら残っています(黄土色のシートが付いたまま)。中央のモハ103−1010は、どこかに貼り付くのを防ぐため、シールの裏紙を貼り付けてありますが、その下には車号が裏返しに読みとれます。つまり使用痕があるということです。
 このデカールタイプは、比較的製作が容易なためか、いろいろな番号が出回っている様子です。そのためこれらを「予備品」などと称して売っているものは、基本的に全てレプリカと見て間違いありません。チェックポイントは、ご覧のように、裏側・きれいさ、ということになります。またネジ穴があるのも不自然で(稀に例外あり)、ネジ穴がある場合は、その回りにネジが擦ったようなキズがあるかどうか、またネジ穴に汚れが付着しているかなどがポイントになります。

 次に最近出回っている「掘り文字風印刷」のものと、実物の掘り文字の区別を見てみます。

レプリカ車号板と実物の画像です

 上2つが「掘り文字風字体による印刷」レプリカ品です。これは鉄道部品店筋や、模型店筋で普通に売っているもので、レプリカ品というよりは、どちらかと言えば「鉄道グッズ」に属するものと言えそうです。
 しかしこれらの印刷は、なかなかに秀逸な出来で、実物の掘り文字のもの(下2つ)と比べて、よく似せてあります。特にレプリカの「0」と、中央下のモハ103−651実物の「0」の文字は、よく似ていますね。また「モ」の字も、一番下のタイプの掘り文字車号板の「モ」と案外似ています。一番上のクハ207−901は、全体の文字間隔が間延びしていますが、クモハ103−84はバランスもいいです。
 あえて難を指摘するとすれば、文字は上手に似せているものの、「どのタイプをプロトタイプにしたのか」が不明で、どっちつかずとも言えることと、色が濃いことでしょうか。もっとも色はレプリカであることを区別するために、わざと濃くしてある印象です。

レプリカ車号板と実物の画像です

 これも裏側を見れば一目瞭然。上2つは真っ白で、何も付いておらず、きれいの一言です。モハ103−651とモハ102−756はかなり汚れていたり傷んでいたりするほか、やはり粘着テープのあとが残っており、使用痕がはっきりしています。印刷のレプリカは、あくまで印刷なので、斜めに見た時に、文字の浮き出しがありません。これも当然ですが見分けるポイントになろうかと思います。

 次のページでは、記念品系のレプリカを見ていきます。また「車号板のエラー実例」を取り上げてみたいと思います。


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