2004年8月27日号

胃の内視鏡検査<1>

  胃の内視鏡検査<1>
 

 私は胃弱である。しょっちゅう、胸は焼けるし、吐き気はするし、胃もたれはする。かかりつけの医師によると、やせ形の体型のせいで、内臓が全体に下がっていて、胃の働きが落ちているのだろう、とのことである。
 なるほどそれは思い当たる。胃の働きが良くないから、やせ形体型は、いつまでたっても変わらないという、悪循環に陥っているような気もする。
 そういう胃なものだから、いつも胃薬は欠かせないし、どうにも調子が悪いときには、ものが食べられなくなるので、医師に診察してもらうことになる。
 だいたいの時には、薬を3日ほど飲めば、まあなんとかなる程度の状態に戻るので、それでいいのであるが、時には、それではすまないこともある。
 そうすると胃のレントゲン検査や、内視鏡で胃に異常がないか、検査ということになる。もっとも今まで異常なんて、見つからなかったから、こんなことを平気で書いていられるのだ。
 私の母は、21年前に胃ガンになり、胃の4分の3を切除する手術を受けた。当時既に、母のかかったタイプの胃ガンは、治癒率95パーセントなどと言われていたので、大事に至らなくてすんだと言うべきなのであろうが、それでも胃の大部分を失ったことによる、後遺症には、未だに苦むことがある。
 しかし、進行ガンではなかったので、抗ガン剤の治療も無ければ、放射線も当てられなかった。そして何より、21年たった。もう治癒したと言っていいと思う。それは幸運に感謝しなくてはならない。
 だが、母親がガンの患者であったとすると、その子どもは一応ハイリスクグループかもしれない。そうすると定期的に、検査をしたほうがいいのだが、胃のレントゲンも、内視鏡も、残念ながら楽な検査とは、特に後者は言い難いのではあるまいか。
 胃のレントゲンは何度も、内視鏡検査は3回受けたことがある。
 レントゲンのつらさは、食事がとれないことと、検査中げっぷを我慢しなければならないのと、その状態でバリウムをたくさん飲まされるのに、それが飲みにくいことだろうと思う。バリウムのまずさといったら…。そもそもバリウムなんて、飲むものではないわけだから、あたりまえなのではあるが、あれがどうしてもイヤという人は、結構多いのではあるまいか。
 ただ、かかりつけ医師によると、内視鏡と同等あるいはそれ以上の情報が、レントゲン検査で得られるのだと言う。長いキャリアを持つ医師は、やはり見るところが違うのだろう。素人考えでは、直接見たほうが…と思うけれど、そういうものでは無いらしい。
 内視鏡検査は、これまた結構つらいものである。食事がとれないのは同じであるが、なにしろ口から直径11ミリの固い管のようなものを、胃まで入れて、手前に付いているビデオカメラで、内部を撮影するのだから。
 だが、必要に応じて、手前からワイヤーや鉗子を入れて、胃の壁をちょこっと切り取って、調べるようにしたり、ポリープや微少なガンならば、切り取ってしまうことが可能である。そのことを思えば、実はすぐれた診断・治療機器なのだ。
 内視鏡は、昔は「胃カメラ」と言った。今でもわかりやすくするために、そう言うこともある。なぜ昔は、と断るかと言うと、昔のものは、文字通り胃カメラで、管の先端に超小型のフィルムカメラを取り付け、外のファインダーを覗きながら、医師は、フィルム送りと、シャッター操作、カメラの向き操作、鉗子操作などする。つまり、検査されている患者の側から言えば、口の外でそれらは行われる。
 しかし後年、カメラは外に取り付け、光学ガラスの細い繊維をたくさん束ねて、管に通したチューブを、胃の中に入れるように改良された。こうすれば、カメラの小型化を意識する必要はなくなり、フィルムが小さいことによる制約もなくなる。これで、「胃カメラ」は、「胃内視鏡」となったわけだ。
 またカメラが外になることで、ビデオ内視鏡にもなり、動画で記録も出来れば、複数の医師が一人の患者の胃の中を、観察することも可能になった。

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