気安いウェブログの問題<1>
巷では、ウェブログ、略して「ブログ」というのが流行っている。
ホームページ制作ほどの知識は要さず、簡単に日記を公開できるというもので、それを読んだ人がコメントをつけたり、自分が同じようにブログのページを持っていれば、「相互にリンク(乗り入れ)」できたりするというものだ。
日記の公開だから、特に気負った文章である必要もないと、思っている人は多いようである。確かに、気負って書く必要は、それほどないと思うけれど、大人の書き方では、書くべきなのだろうと思う。
そんな中、ごく最近、ブログを巡ってある「事件」が発生した。ことの次第は、簡単に書くと以下のようである。
ある自称ジャーナリストの51歳男性が、自分のブログで暴言を吐き、「脅迫」にあたる行為をした旨、よせばいいのに自慢げに書き込んだ。この人は、現在は有限会社を起こしていて、大学で非常勤講師などもした経歴を持ち、かつては、その名前を聞けば、多くの人が「ああ、あれか」と思い出すような雑誌の、編集長をしていたのだそうである。とすれば、立派な社会的地位のある人であるはずだ。
この自称ジャーナリスト氏は、そういう地位にある、もしくはあった人なのであるが、氏のブログの記述によれば、某私鉄の路線バスの前を、奥さんが自転車で走っていたところ、後ろからクラクションを鳴らされた。そのことに怒った奥さんは、その私鉄バス会社の担当責任者を自宅に呼び出し、謝罪を迫ったのだそうである。まあ、ここまではままありうる話であって、それほど珍しいことではない。もっとも、「現場目撃者」が、某巨大掲示板にあらわれ、自称ジャーナリスト氏のブログとは、異なった証言をしていたりするのだが、私が現場にいたわけではないので、それについては触れないでおく。またクラクションの妥当性についても、個人的に思うところもあるが、ここでは論じない。
しかし事態はそれだけに留まらず、謝罪に訪れた、私鉄バスの3人の人々に対し、以下の発言を行ったと、氏は自らのブログに記載していたのである。
曰く、
「おのれは46の誕生日迎えたいんか?」
「良かったのう、これがオートバイ乗っている俺じゃのうて。おどれ、今頃、ひきずり降ろされて、血反吐吐いて死んどるぞ」
「今度やったら殺すぞ」
更にこのページには、謝罪に訪れたバス会社の人々の実名と、顔がわかる写真まで貼られていた。これはもう、完全な脅迫と名誉毀損、肖像権の侵害である。そして、別なページには、一般の読者や、このブログにコメントした人々に向かって、
「いつでもかかって来んかい、ど素人。てめえ、誰に向かってゴロ巻きよるんじゃ」
…とあった。
現在これらのページは、削除されているので、見ることはできないが、少なくとも数日は、「世界公開」されていたことは間違いない。これらは、一部の引用に過ぎないが、どうもこの人は、犯罪行為を自慢しているかのようである。その点、いかがなものかという気はする。
ある地位のある人が、このような言い方を、日記の公開であるブログで、平然としてしまうというのには、驚きとか、あきれを通り越して、一種の面白さを感じてしまう人も多いようで、某巨大掲示板で「紹介」されたこともあってか、ブログとしては異例の、1日18万件ものアクセスがあったという。
さて、この51歳自称ジャーナリスト氏の問題点は、いくつもあげることが出来るが、その中でもっとも見苦しいのは、51歳にもなるのに、いぎたない言葉で、人を恫喝し、脅迫するようなものの書き方である。
この人は、自らプロフィールを紹介して、実名も連絡先も載せているのであるが、仮にもジャーナリストを標榜する者が書く文章にしては、ちょっとどうかと思う。
それと、この人のブログに対するスタンスというのも、本来のブログの役割とか、コミニュケーションの取り方という点において、もう論外と言わざるを得ない。
ブログは、日記の公開だから、少々のことがあっても仕方ないとは思うが、いぎたなく人を罵る場でもなければ、鬱憤をぶちまけるばかりの、「怒りのはけ口」でもないはずだ。ましてや恫喝・脅迫など…。
しかしこの人は、そのように使ってしまっている。
一方、ブログが持つ特徴のウラに潜む問題ということも、考えてみたい。私のこの作品は、氏に「かかっていくこと」が目的ではないのだから。
(次回に続く)→続きを読む |