ところが、この「モナコ公国に…」というのは、どうも唐突な印象ですし、内容的なイメージ、それとともにケースケの第28話での発言などとの不整合、最終回後のストーリー展開の予想…からして疑問が残ると、見た当初から私は感じていました。
そしてその疑問は、やがてより確定的になります。それは「公式資料」とされるもの、制作者の発表・提示したものは、常に絶対なのか?、ということに立脚するものです。
つまり「モナコ公国に降り立った」という設定、それは本当なのか?。ファンとしては、制作者側が絶対だとは思えない部分もあります。制作者の方々も、優れた感性の持ち主だと思いますが、人間である以上、全てに完全を期することなど、できないはずです。とすれば、そこに「間違い」や「勘違い」、「矛盾」が入り込む余地も、ないとは言えないのではないか?。となれば、もしかして間違った設定が、そこに入り込んでいないか?、ということです。これは認識しておかなければなりません。
それを踏まえた上で、
1.星のトレインの構造的な制約
2.またモナコ公国を実際に旅した友人の話
3.世界各国の鉄道関係データを記した本
4.モナコの気候およびオーストラリアの気候
5.DVD特典映像が示すいくつかの示唆
…などから考えますと、客観的に見て、モナコに降り立つのはそもそも不可能ではないか?、モナコとされるカットでの、コメットさん☆とケースケのシーンは、気候的にあり得ないのではないか?、したがってケースケがモナコに移動していて、そこにコメットさん☆が行ったとされる、巷間語られる「ストーリー」は、実は違うのではないか?と確信させる結論が導き出せました。
そこでその「コメットさん☆は、そもそもモナコに行ってはいない」ということの証拠を、一つずつ検証し、それと連動して、星のトレインという星間飛行体がもつ、鉄道車輌の面から見た特殊性や謎についても、解き明かし、さらに気候風土や、DVD特典映像から見た矛盾点にも言及しつつ、結論をご紹介したいと考えます。なお、ビザに関連する可能性の検証も、多少は行いましたので、そちらも合わせてご覧下さい→こちら。
このような解題は、おそらく今まで例がなく、特に星のトレインの、鉄道車輌として見たときの特殊な構造と、それが江ノ電に乗り入れるという設定がもたらした影響などは、鉄道に明るくない方がお作りになるページでは、解題が困難なものではないかと考え、当ページで検証するのが適当と判断いたしました。
そのあとに、気候から見た検証、DVD特典映像を資料とした検証も掲載いたします。どうか最後までご覧下さい。
下の画像をご覧下さい。これは「東京メトロ・丸の内線 茗荷谷駅」の構内の線路を撮影したものです。どうということもなく、線路と電車が写っていますね。
もう一つ下の画像はどうでしょうか。これは「京王電鉄・井の頭線 明大前駅」の構内の線路を、なるべく同じような角度で撮影したものです。
どうですか?。何か違いがありませんか?。電車がいるいないとか、レールの錆び具合、線路の間の砂利や黄色い線とかは関係ありません。それは無視して下さい。…よーく見ると、2本のレールの間隔が、違っていませんか?。丸の内線(上の画像)は広く、井の頭線(下の画像)は狭い。そう見えますね。
実はこのことが、コメットさん☆がモナコに行ったのかどうかに、とても重要な意味を持つのです。
さて、このレールとレールの間隔のことを「軌間」(きかん)と言います。これは規格で厳密に決められているもので、勝手に狭くしたり、広げたりはできません。なぜなら、電車の車輪がレールから落ちたり、乗り上げて、脱線してしまうからです。軌間は下の図のように、レールとレールの「内側」をはかったときの寸法です。
この寸法には、日本の場合、狭軌(1067ミリ)、路面電車軌(1372ミリ)、広軌(1435ミリ)があります。他にも762ミリなどもありますが、あまり関係ないので省略します。またここでは路面電車軌(1372ミリ)も、関係ないので忘れて結構です。広軌は「世界標準」なので、本来は「標準軌間」と言いますが、日本では、新幹線や一部路線以外のJRや多くの私鉄が、狭軌を標準にしていますので、国内では広軌(1435ミリ)と呼び慣わされています。なお数字が半端なのは、フィート・インチで計算されているからで、昔の名残です。これも特に気にしなくて結構です。
これで日本の鉄道には、主に狭軌(1067ミリ)と広軌(1435ミリ)がある、世界的には広軌が標準であるということが、おわかりいただけたかと思います。
さあ、ここから「コメットさん☆」に関係が深くなってきますよ。コメットさん☆が第1話で乗ってきた星のトレインが、最初に乗り入れたのは、江ノ島電鉄(江ノ電)の七里ヶ浜駅から稲村ヶ崎駅の間の線路でした(「コメットさん☆と鎌倉」>「第1話関連・星のトレイン入線と鎌倉駅周辺」を参照して下さい)。では、江ノ島電鉄の線路は、狭軌でしょうか、広軌でしょうか。
上2枚目の井の頭線の画像と比べてみて下さい。同じ広さであるのがわかるかと思います。つまり江ノ島電鉄は「狭軌」で、建設されているということです。
するとその狭軌の線路に乗り入れていた、星のトレインも、狭軌鉄道用の車輌として設計・施工されているということです。ここは重要なポイントになります。
星のトレインは、「星国の乗り物だから、その辺はどうにでもなるんじゃないの?」、「設定にはフワフワ浮いている、と書かれているから、線路上の中空を飛んでいたんじゃないの?」というご意見も、あるかもしれません。いいえ、両方ともそんなことはありません。第1話にしても、第43話にしても、確実にレールの上に載っていましたし、構造的に「どうにでも」ならないのです!。
「星のトレイン」は、1台の蒸気?機関車で、2輌の客車(うしろ1輌にねこ車掌が乗務)を引く、という形の列車です。この機関車は鉄道車輌の構造を持っていると言えますが、かなりデフォルメされている部分もある反面、かなり現実的な構造でもあるという、不思議なものです。
この機関車の構造的に不思議なところは、まあたくさんありますが、一応その性能に関すること、およびコメットさん☆が、モナコに行ってないことの裏付けに関係するのは、以下の点です。
1.メインロッド(蒸気による前後運動をするピストンの力を、動輪の回転運動に変えて伝える棒)が、すぐ第1動輪につながっていること。
2.テンダー(炭水車。普通の蒸気機関車では水と石炭を積む)の車輪が、内側で支えられ、下台枠とも言うべきものによって左右独立回転になっていること。
3.ブレーキシステムらしいものが見あたらない。これは客車(後述)も同様。
4.機関車本体の台枠が板状。
…というようなことが、見て取れますが、1について通常の蒸気機関車(SL)では、第2動輪に落とすのが普通(例外あり)です。これは星のトレインのような構造ですと、メインロッドの動きが大きくなり、ロスが大きくなるからで、また星のトレインには、ピストンからメインロッドを結ぶ部分に、「スライドバー」や「クロスヘッド」、「逆転リンク」などがないため、ピストンの運動がうまく動輪を回す力にならないような気がしますが、かなり専門的ですし、作品とかけ離れていくと思うので、省略します。
次いで2については、かなり重要なポイントで、車軸が左右の車輪を貫通していませんから、堅固な下台枠で支えることになり、車軸もごく短くして支えないと、力学的に車輪を転倒させようとする力が大きくなります。そのため下台枠の構造は、固定的に作らざるを得ません。
このテンダーの下台枠に付いた車輪の様子は、以下の図をご覧下さい。テンダーの車体を取り払い、上から見た様子です。
大きな×の字形のものが下台枠で、これに車輪4個が短い車軸で付いています。この車軸を長くしようとしたり、車軸の長さを可変にしたりしようとしますと、軸受けが下台枠内にある(内側軸受けと言います)関係で、軸受けの強度が不足し、車軸でテンダー車体の重量を支えきれなくなります。
3については、軸受け内部にブレーキシステムを持つか、全く別な方式によってブレーキをかけているか(例えば星力により、車軸に抵抗を与える…など)であると考えられます。
4については、板状の台枠ですと、軸箱(車軸を支える構造物)の位置はより堅固に固定されます。
参考までに機関車後部の画像も載せておきます。
以上のことから何がわかるかということですが、この機関車は主に2と4の理由により、狭軌専用の設計であり、軌間を変えることは、下回りをそっくりそのまま交換しない限りできず、それもピストンの中心位置などの関係でまず不可能であるということです。これは、星のトレインに乗ったコメットさん☆が、モナコに行けるか行けないかということに、非常に関係します。
車掌車には、通常ねこ車掌さんが乗務しているようですが、前側はお召し客車とホロでつながっていますので、扉があるのでしょう。また後部はオープン構造のデッキがあり、その前には煙突があります。この煙突は、軽食やお茶を、コメットさん☆などに出すためのレンジのフードにつながっているのではないかと思われます。
お召し客車には、何種類か車輌があるようで、ドアの開き勝手が左右両側とも同じ向き(後ろに向かって開く)のもの、反対向きのもの、座席位置が異なるもの(第1話の車輌は後ろよりの後ろに向かって左側に座席があり、第43話の車輌は、前よりの後ろに向かって右側に座席を装備)、トイレ位置が異なるもの(第43話の車輌は両側に座席があり、通路は非常に狭いと考えられる。「メモワール・ド・エトワール」に記載されている車輌は、座席の反対側にトイレとの記述がある)などがあり、またドア窓が設定では丸窓なのに対し、作品中では四角形であるなど、いろいろです。
そのため少なくとも客車には3輌程度ある様子で、それから考えれば、星のトレインの編成そのものが3編成は存在すると考えられます。余談ながら、タンバリン星国も1編成所有している模様です(第34話参照)。
さて、車体については、以上のような特徴がありましたが、この客車群がもつ車輪回りについて見ますと…、
1.いずれも車軸は車体下部を貫通しており、両側の車輪がつながっている、普通の車軸である。
2.軸受けは機関車と同じく、内側軸受けである(外にバネなどはない)。
3.2からして、車体内部に軸受けがあり、その部分にレールから受ける振動を緩衝するバネが装備されていると思われる。
4.機関車同様ブレーキ装置が見えない。
…という注目すべき点があります。
この中でも特に問題になるのは、軸受けが内側で、車軸が貫通している構造からして、軌間を可変できないと思われることでしょうか。客車で軌間を変えられる車輌というのは、あるにはあります。スペインのタルゴ列車や、日本国内でも軌間可変試作電車などがあります。しかし、いずれも地上側にそれなりの設備が必要で、どこでも変えられるというわけではありません。それは、車軸を伸ばしたり、縮めたりして、車軸の長さを変え、異なる軌間に対応するのですが、変えている最中は、所要の強度を維持できないので、車軸以外のところで車体の重さを支えなければならないからです。そのためにどうしても地上に専用の設備が必要となり、いつでもどこでも…というのは無理なのです。
モナコ公国の風景や、駅の画像については、友人のmari氏から、現地へ行ったときのレポートコンテンツを拝借できましたので、ご覧下さい→「モナコのモコナ」(C)モコナ研究所、写真・文:mari氏。なおこのページは、あとに書きますモナコの気候にも関係がありますので、逐一参照されることをおすすめします。
さて、モナコ公国の鉄道は、フランス国鉄、イタリア国鉄と乗り入れしています(上のリンク先の1ページ目にモンテカルロ駅が写っていますが、その中の客車はフランス国鉄の車輌です)ので、当然、線路の軌間はフランス・イタリアと同じということになります。ではその軌間は広軌でしょうか、狭軌でしょうか?。
ヨーロッパの鉄道は、隣国と国際列車を走らせる関係で、ほとんど広軌(1435ミリ)に統一されています。
したがって答えは当然ながら広軌(1435ミリ)です。
…すると…、星のトレインは…機関車も客車も、狭軌専用の設計・施工でしたよね。ということは、モナコ公国の線路には…、乗り入れできません!。つまり降り立つ線路はないということです。
もしモナコ公国に狭軌の線路があればそこに…と、考えられるかもしれません。…いいえ、モナコ公国に狭軌の線路は1ミリもないのです。
では、違う観点からも、それを否定してみましょう。
第43話では、4カットのモナコの風景が映ったあと、ケースケにコメットさん☆が「あなたはタンバリン星国の王子様?」と聞き、それを聞いたケースケがびっくりして振り返り…となっていますね。とりあえず、今あのカットに描かれているところは、百歩譲ってモナコだとして、いずれはそこから鎌倉に帰らねばなりません。コメットさん☆がそこに住み着くわけには行きません。住み着いてしまうとDVDに話が続きません。
また、短期滞在としても、いっしょに地球に向かっていたメテオさんが、先に鎌倉に戻ってしまい、風岡家に帰ったのに、藤吉家にはコメットさん☆が戻ってこないという、藤吉家としては非常に「心配」な時間が発生してしまいます。また下でも取り扱いますが、鹿島さんと前島さんの結婚式への参加が困難になり、DVD特典映像で描かれる内容と矛盾(詳しくは「DVD特典映像「コメットさん☆ミュージッククリップ」は語る」を参照)が起きます。
再度鎌倉に向かうとしたら、どこに星のトレインを呼びますか?。ホームのないところに呼ぶと、どうやって乗り込みますか?。
第29話で、コメットさん☆はケースケを助けに、台風の目に星のトレインで行き、飛び降りていますが、帰りはカスタネット星国の女王の力で、傘で飛んで帰ります。このことは、星のトレインは、空中で下車は出来ても、乗車は出来ないことを示しています(これは普通の電車も同じで、駅間で事故などにより、乗客を降ろすことはあっても、飛び乗らせたりはしません。星のトレインの構造は、その辺を勘案していると考えられます)。よって、いずれも不可能、または非常に困難なのではないでしょうか。
それと気になるのは、もし星のトレインを路上に留置して…となると、ラバピョンとミラは、どうなったのでしょう?。これについても、合理的説明が出来ません。まさか星国にお帰りということはあり得ませんし、二人だけ鎌倉に行っても、しようがありません。
以上の観点から、いずれにしても、まずは主に星のトレインの構造上の制約から、「コメットさん☆はモナコに行っていない」と証明できたと考えられます。
さて、モナコの気候はどんなでしょうか。ちょっと調べてみました。
◆2月の最高気温は12.0度でありますが(全て摂氏以下同じ)、7月でも28.0度。ちなみに東京はそれぞれ9.2度、30.1度です。最低気温は2月8.0度、7月で21.0度。東京は2月1.3度、7月23.4度です。これを見ますと、冬はおおむね東京より温暖ですが、夏はやや冷涼です。しかし、2月、7月ともに、少女とは言え、コメットさん☆がノースリーブで平気な気温かというと、まず2月は不可能、7月ですら東京のようにじめっとした暑さでないことからして、疑問の余地もないことはない(すぐ下の★の項目も参照)と思えます。
次にオーストラリア・ケアンズの気候を見てみましょう。ケアンズは、オーストラリア北部にある、きれいなビーチのある地方都市です。
◆標準の最高・最低気温を示します。2月の最高気温は31.1度、最低気温は23.7度です。7月はそれぞれ25.6度、17.0度です。
では、これらを簡単に表にしてみます。数字の単位は「度」(摂氏)です。
都市名 |
2月最高気温 |
2月最低気温 |
7月最高気温 |
7月最低気温 |
モナコ |
12.0 | 8.0 | 28.0 | 21.0 |
ケアンズ |
31.1 | 23.7 | 25.6 | 17.0 |
東京 |
9.2 | 1.3 | 30.1 | 23.4 |
この表を見て、一見してわかることは、オーストラリア・ケアンズのほうが、よほどケースケがトレーニングを積むにはふさわしい気候だということですね。なお、ケアンズだけが、7月のほうが2月より涼しい気温なのは、当然ながらオーストラリアは、南半球にあり、四季が北半球と逆だからです。
ここで前提条件として必要になるのは、コメットさん☆が地球に再来したのが、2002年2月であることの証明ということになります。これについて、まず厳密な時期特定を行いましょう。
1.まずDVDの特典映像を見ますと、スピカさんの娘を抱いているコメットさん☆の絵が映ります(くわしくは「DVD特典映像「コメットさん☆ミュージッククリップ」は語る」を参照して下さい)。スピカさんの娘(おくるみがピンク色なので女の子です)は、おくるみにくるまれていますので、生まれて間もないか、せいぜい3ヶ月程度です。1歳ということはあり得ません(もし1歳以上なら、個人差はあれど、歩いていてもおかしくないし、しゃべったり、おすわりしたりします)。
2.またコメットさん☆は、夏服を着ていますし、スピカさんも長袖ではありません。
3.さらに、子どもは10ヶ月で誕生します。スピカさんがコメットさん☆に、おなかを蹴る(胎動)のを聞かせているのは、第35話(2001年11月25日放送分)です。
4.子どもがおなかを蹴り始めるのは、おおむね5ヶ月くらいなので(スピカさんの「まだ小さいけれど…」というセリフから、蹴り始めて間もないのは確実)、スピカさんの子どもが誕生したのは、2002年4月末頃〜5月初旬です。
5.以上、1〜4により、少なくともコメットさん☆が地球に再来するのは、2002年の夏よりは前、ということがまずはわかります。
さらに詰めてみましょう。
6.DVDで実現した、鹿島−前島両氏の結婚式は、「スターダイアリー」の記述によると、52話まで(あるいはそれ以上)続いていれば、話中で描かれる予定であった、という意味のことが書かれています。これは神戸監督の談話として、「話数の関係で出来なくなった」旨書かれているのですが、仮に放送が続いていたとすれば、第43話が2002年1月27日ですので、第51話が同3月末ということになります。すると、DVDで描かれた鹿島−前島両氏の結婚式は、段葛の桜が咲いていましたので、2002年3月下旬に行われたことが確実(天気、桜の咲き具合から3月30日土曜日がその日であると思われる)です。
7.するとそれに参加していたコメットさん☆は、必然的に2002年3月下旬よりは前に、地球に再来しています。
さらに詰めていきましょう。
8.この結婚式では、コメットさん☆、メテオさん、倉田さんが、共通衣装を着ています。これは結婚式で、花嫁のヴェール持ちをしたと考えられ、それ以外で共通衣装を着る意味はありません。普通に出席するなら、フォーマルな白ブラウス程度でいいはずです。
9.ということは、前島さんは服飾デザイナーですので、この3人の衣装は、自前で用意したに違いありません。すると採寸、仮縫い、縫製、合わせなどがどうしても必要になり、自分の衣装のこともあるでしょうから、コメットさん☆、メテオさん、倉田さんの三人には、かなり前から日程の調整や、衣装合わせなどのスケジュール調整をしてもらわねばなりません。昨日今日依頼することは出来得ません。
10.また三人とも、全く身体的成長が見られません。コメットさん☆、メテオさん、倉田さんとも、成長が盛んな時期のはずなのに…です。
11.よって、少なくとも1月前には、8〜9の理由により、コメットさん☆に依頼が行われているはずで、2〜3日などでは衣装が出来上がるわけもありません。さすがに星力で一晩…というのは、前島さんが疑問を持たないわけもないですし、式の進行上のタイムスケジュールからして、常識的に見てあり得ないです。
12.以上、最終的に1〜7に加え、8〜11の理由から、コメットさん☆の地球再来の時期は、2002年2月と特定できると認められます。
これにより、コメットさん☆とメテオさんが、地球に再来したのは、2002年2月末(結婚式の準備期間を1ヶ月としたとき。1ヶ月以上なら、さらに前)で間違いないことが証明できたと思います(詳しくは、「DVD特典映像「コメットさん☆ミュージッククリップ」は語る」などもに子細に示しましたので、そちらも参考にして下さい)。
するとやはり、コメットさん☆がノースリーブ、ケースケがTシャツでいられるのは、オーストラリアのように、気候が2月頃暑い地域ということになります。
なんとオーストラリアには、狭軌の鉄道が全営業距離の40%もあるのです。これは先進諸国の中では、日本と並んで突出した数字といっても過言ではありません。かたやモナコ0%、かたやオーストラリア40%…。
また一方気候的なことからして、これらの条件を考慮して、オーストラリアのどこが可能性として一番考えられるか…。それはオーストラリア北部の街・「ケアンズ」ではないかと思えます。
理由としては…。
1.ケアンズの気候が、ケースケの目的に見事なまでに合致している。ビーチがあり、地方都市であり、成田から直行便もあり、年中温暖でトレーニングに適する。
2.ケアンズ近郊の鉄道は、全て狭軌線であり、星のトレインを留置するのに、問題がほとんどない。
3.ケアンズ駅には、1日数回しか列車が来ない。過密ダイヤではない。よって星のトレインが、短時間ならば線路を支障しない。
4.貝殻通信機の通信途絶は、ケースケがライセンス試験に落ちて、一時的に「かがやき」を失ったことによると考えられるが、そこで当初いたところから、北部の街ケアンズに移動して、トレーニングに再度挑むことにしたとすれば、ストーリー的な矛盾は一つもなくなる。
5.ケースケは、第28話で「試験が終わったのちも、3年間は修行のため現地にとどまる」旨、決意を語ってから出発している。ここで現地とはオーストラリアを示すが、その決意が、彼の普段の様子からして、試験に1回落ちた程度のことで、ヨーロッパへ移動するというように、簡単に揺らぐとは思えない。
6.時差が東京と+1時間しかない(サマータイムでないとき)ので、多少の補足的理由になりうる。例えば、のちにコメットさん☆が、星のトレインで会いに行くなどの場合、行ってみたら現地の深夜だったというような不整合が起こりにくい。
7.ケースケの取得出来るビザは、様々な要因により短期就労ビザと考えられるが、3ヶ月に一度更新が必要であり、2月は更新時期から外れる。これは補足的理由になりうる(あくまで補足的だが)。
…があげられます。
これらの証拠により、ケースケは、オーストラリア国内からは移動しておらず、ケアンズに移動したのであって、コメットさん☆が立ち寄ったのも、またオーストラリア・ケアンズであると考えると、矛盾が起こりません。またこれならば使っていない線路に、星のトレインをなんとか短時間なら留置しておけます。
また第43話で描かれたのは、日本の冬でした。南半球は季節が逆ですので、オーストラリアは晩夏くらいですね。とすれば、コメットさん☆のノースリーブの夏服にも、なんの不自然もありません。このことも、コメットさん☆が行ったのは、モナコでなくオーストラリア・ケアンズであることを裏打ちします。
ライセンス試験に落ちたことで、一時的に「かがやき」を失っていたケースケは、コメットさん☆につかの間再会することで、「かがやき」を取り戻し、再び夢に向かう元気を得た…。そう考えられると思います。これで貝殻通信機も、復旧するでしょう。
それは「モナコ観光協会?」(笑)の要請で、なぜか入れられた、モナコ公国を宣伝し、観光に誘う「単なる外国色紹介」のためのカットでしょう。…というのは、ちょっと冗談として、実際には適当に旅行の案内書あたりを持ってきて、「これ美術さんに渡して、適当に4カット入れてもらって…」というようなやりとりの結果ではと思われます。スタッフの人々が、その整合性をあまり考えずに、決めてしまった設定なのではないでしょうか。おそらく、制作間際になって急に変更されたのではないかと推察します。そのため、オーストラリアから変更しきれない部分が残り、結果ストーリー全体の調和が乱れ、不整合な部分が残ってしまった…。そのように推察します。
線路、とりわけレールは、圧倒的な存在感で、地球上の各地を結び続けています。そのレールの上には、列車とともに、人々の喜びも、悲しみも、時には恐怖も、安心も、思い出も、ふるさとも、未来も、過去も…ありとあらゆるものが、乗って日々移動しています。
コメットさん☆の乗る「星のトレイン」も、結局やはり地球上に降りているときは、「シュッシュッシュッシュッ」と蒸気機関車が引く列車でした。星と星を結ぶ宇宙船であるときよりも、列車であったときのほうが、私たちにも印象深いと思います。
コメットさん☆は、第43話で、地球を離れるときに窓から、遠ざかる七里ヶ浜の景色を見て、泣いていましたね。それでもその車窓に、やがて星の子たちが見え始めると、王妃さまにうながされてそれを見、そして少し微笑みます。これは「列車の車窓」がもつ、独特な力、それは「移りゆく景色と時間の中で、人の心持ちも変わっていくことさえある」ということの象徴的シーンとも言えるでしょう。
そうして、コメットさん☆の大事な「友だち」との再会もまた、列車での旅の果てであった…。そのことはこの作品が、「人間の物語」であることの象徴として、私たちの胸を打つと思えます…。