DVD特典映像「コメットさん☆ミュージッククリップ」は語る
ここのページの内容は、これからDVDをご覧になる方には、かなり「ネタばれ」になってしまうのですが、DVDでしか見られない部分に、重大な示唆が、いくつか含まれているので、あえてここに書き出して考察してみたいと思います。
DVDの第5巻(BOXの1)の後半は、「特典映像」が含まれています。この部分には「コメットさん☆ミュージッククリップ」として、新作の映像がわずかながら含まれています。例によってさらっと見れば、それまでですが、実はこの部分にかなり重要な示唆や、作品中で語られなかった内容の補足が、見て取れます。それらを順に紹介し、さらにそれらから考えられることについて、言及してみたいと思います。
特典映像・コメットさん☆ミュージッククリップで、新作映像部分が入るのは、まず…、
1.スピカさんに子どもが生まれている
…ということです。スピカさんのペンションにあるサンルームで、コメットさん☆はその子をのぞき込み、抱かせてもらって、頬ずりしています。未来への希望の象徴とも言うべきコメットさん☆が、それを体現するかのような子どもを抱く姿は、それなりの意味を感じますが、そんなしかつめらしいことを言わないでも、コメットさん☆のしぐさはかわいいです。
さて、コメットさん☆がかわいいのは、それでいいですが(笑)、スピカさんの子どもを見ることができたということは、星のトンネルが、コメットさん☆の星国帰還後も機能したままになっており、地球へ戻ってきてからもそれがそのままになっていたということです。また星のトンネルの元は、藤吉家のウッドデッキのところでしたから、コメットさん☆が地球へ戻ってきて、再度「ホームスティ」するのもまた、藤吉家だったということも示しています。
それでは、このスピカさんに子どもが生まれたのち、コメットさん☆がその子を抱いているのは、いったいいつなのか?ということが、疑問として浮上しますね。それはコメットさん☆が地球へ戻ってきたのがいつなのか?ということに、影響するからです。
それを推定する材料としては、コメットさん☆が着ている服が夏服の、ノースリーブだということがまずあげられます。したがってこれだけで判断すると、2002年の夏頃にスピカさんの子どもを抱っこしている…ということです。
ところが、もう少し突っ込んだ考察をしてみますと…。多少、この先「作品のイメージとしては生々しい話」が続き、恐縮ですが、どうかご了承下さい。
スピカさんが妊娠していることを「公表」するのは、2001年10月21日の放送です(第30話)。さらに、コメットさん☆がスピカさんのおなかに耳を当てて、胎児の胎動(というかおなかを内側から蹴る)を聞いているのは、2001年11月25日の放送(第35話)です。放送と実際の時間にタイムラグがほとんどないとして(実際ありませんでしたよね)、普通赤ちゃんがおなかを蹴るようになるのは、おおむね妊娠5ヶ月くらいからなので、11月の終わりには妊娠5ヶ月に、スピカさんはなっていると考えられます。
ここで、妊娠したかどうかがわかるのは、普通妊娠後1ヶ月ですが、すぐにスピカさんが「公表」しなかったのは、おそらく「安定期」(およそ5ヶ月くらい)に入っていなかったからと思われます。10月21日に公表とすれば、妊娠後4ヶ月程度での公表ということになりますが、「つわり」がやや落ち着いてくるのが、おおよそ4ヶ月頃(人によってかなり違うが…)と言われていますので、スピカさんとしては、その時点でコメットさん☆他の人々に教えても大丈夫と判断したのでしょう。
妊娠後おおよそ10ヶ月で、人間は誕生します。かなり人によって差はあるようですが、16ヶ月とかいう人はいませんから、まあだいたいの計算としては、それほどのズレはないでしょう。これから計算すると、スピカさんに子どもが誕生したのは、2002年の4月末から5月初旬頃となります。
ではコメットさん☆が、スピカさんの子どもを抱いているのもそのころかというと、これは違います。赤ちゃんを抱くのに慣れていない人に、抱かせても、まあそっとなら大丈夫になるのは、本来赤ちゃんの首がすわる頃(6ヶ月くらい)ですが、横向きにそっと頭を支えてならば、注意深く抱く限りはなんとかなるので、常識的に考えれば、1ヶ月〜くらいと思えます。
さらにコメットさん☆が、スピカさんの子どもを抱いているカットでは、横向きに抱いていることがわかりますので、スピカさんの子どもは、6ヶ月などではないと思えます(もっと低い月齢)。コメットさん☆がいとこであるスピカさんの子どもを抱いて頬ずりしているのは、おおむね2002年5月末〜7月初旬頃(あるいはもう少し先)と考えられます。
夏服には少し早いのではないか?と、考える方もいらっしゃるとは思いますが、コメットさん☆は関東地方から信州に行っているということと、ペンションのサンルームという場所が鍵になるのではないかと思います。サンルームで、さらに暖房が入っているだろうと考えれば、コメットさん☆がノースリーブでも、特に矛盾はないと思われるからです。
よってスピカさんに子どもが生まれた時期と、コメットさん☆がその子に頬ずりしている時期は、一応特定できたと考えられます。
次に見られるのは、
2.鹿島さんと前島さんの結婚式
…ですね。この二人は第27話で出会い、第43話では二人きりで鹿島さんの工房で話し込んでいます。この時点ではもう婚約していたのではないかと思われますね。
なおこの二人の結婚式については、「コメットさん☆は2002年のさくらを見られたか=DVD特典映像が語る意外な事実」のところに、かなり詳細に記載しましたので、ここでは簡単に記述しますが、この結婚式は、鎌倉段葛の右側(鶴岡八幡宮を向こうに見たときに)にある教会で行われているようです。そして画像をよく見ますと、コメットさん☆たちはそれに参加しており、背景には段葛の桜が咲いています。コメットさん☆たちのドレスは、肩を出したものですので、季節的にはやや寒そうにも思えますが、結婚式は外を延々と歩いたり、外で待つ時間が長いものでもないので、特に矛盾はないとも言えます。
それで問題になるのは、この結婚式が春に行われたのは確実として、それは2002年か、それとも2003年か?ということになると思います。これは、コメットさん☆が地球に戻ってきた時期の特定に、非常に関わりがあるからです。
「スター・ダイアリー」というムック本がありますが、これの巻末近くに、神戸監督さんと、おけや脚本家さんの座談会のもようが載っています。それによると作中で描きたかった話(やり残しの話)として、この鹿島さんと前島さんの結婚式の話があった旨記述があります。「作中で描きたかった」とは、当然にして52話まで続いていれば、その中で…ということですから、2002年のことに違いありません。まさか作品の中で「…一年後」という話の飛躍はないでしょうし…(本当は、このような、作品外の文献を参考にするのは、ちょっと信義則に反するのですが、これだけは仕方ありませんでした)。
よってこの結婚式は、2002年3月30日土曜日に行われたと考えられます(当日の天気、段葛の桜の満開度などから確実)。
さてこの結婚式にコメットさん☆が参加しているということは…、2002年1月末に星国に帰ったコメットさん☆は、2002年3月末の時点では、地球に戻ってきているということです(この部分の論証は、「星のトレインの謎とコメットさん☆はモナコに行ってない!!」のところも、ご参照下さい)。
が、ではコメットさん☆は、2002年3月末に地球に戻ってきたのかというと、それも違うと思われます。それはなぜか。結婚式というものは、「招待状」といったものを発送して、参加する人数をチェックしなければなりません。またコメットさん☆、メテオさん、倉田明日香さんの3人は、お揃いのドレスを着ており、式の進行上なんらかの役割(おそらく花嫁のヴェール持ち)を果たしている様子です。それからしても、あらかじめ前島さんから「当日よろしくお願いする」旨、前もって頼まれており、当然にしてそれは社会常識からすれば、急に前の日頼まれるということは考えられません(物理的に無理)から、少なくとも1ヶ月くらい前までには、打診があったものと考えられます。その理由は、ドレスの採寸・縫製・衣装あわせ、手直しや靴の手配などに時間がどうしてもかかるからです。
また結婚式は、儀式ではありますが、キリスト教式の場合それほど血縁にこだわりません。そのため式にコメットさん☆などの非血縁者が参加していること自体は、不思議ではありません。しかし最近はよほどのことがない限り、友人などを式に招待した場合、披露宴があるのが普通で、披露宴がない場合には、式は二人きりでとか、血縁者・近親者だけで行うのが普通です。よって、非常に特殊な例は別として、非血縁者が参加している式の場合は、常識的に考えれば、そのあと披露宴があると言っていいでしょう。
特に、前島さんはまだ一人前ではないかもしれませんが、服飾デザイナーです。そういう職業の人が、披露宴をしないなどということは、まああり得ないと言っていいでしょう。それと披露宴だけ出る人はいますが、式だけ出て、披露宴に出ないというのは、仕事の関係で時間がとれないなどの特別な場合を除き、考えにくい状況です。
披露宴の当日や前の日に、特急の指定券のように、席を設けるということは、通常できない場合が多いです。少なくとも1月前には、誰が来る予定か、基本的には決まっていないと、披露宴のテーブル数やいすの数、配置などを決めるにも困ります。当日急に参加できなくなって減る分には、それほど困りませんが、増えるのはいろいろ問題が多いです。両家で同じ人数にするというのも、結構問題になりますし…。
とすれば、コメットさん☆は、少なくとも2月末までには鎌倉に戻ってきていないと、あの結婚式への参加はしにくいことになると思われます。逆に、実際には参加していたのですから(メテオさんも)、2月末に鎌倉に戻ってきていたと考えざるを得ません。
すると星国に帰っていたのは、わずかに1月程度ということになります。
そうすると、コメットさん☆は「国外」にどのくらい滞在したのか?、ということにも、ある程度関係が出てきそうです。
私としては、いくつかの確定的証拠により、そもそもモナコに行ってないと結論づけましたが(詳しくは「星のトレインの謎とコメットさん☆はモナコに行ってない!!」を参照して下さい)、仮に行っていたとすると、いろいろな矛盾が生じます。例えばそれは、数日以上…となると、上に書いた結婚式場と披露宴会場の手配の問題が出てきたり、1日以上のズレがあると、いっしょに途中まで地球に向かっていたメテオさんとの関係がおかしくなります。例えばそれはメテオさんが風岡家に戻ったのに、コメットさん☆は藤吉家に戻らない何日間かが発生してしまう…、それをメテオさんはどう思うかとか、メテオさんが藤吉家に行ってみるだろうし…とか、藤吉景太朗パパさんや、沙也加ママさんが心配する…というような不整合なことが発生し、そもそもそれについての説明を、コメットさん☆はでき得ないからです。
電話連絡をしておけばよい、という意見もあるかと思いますが、それは内容からして無理と、常識的には考えられます。何しろ急に遠いふるさとへ帰った人が、何の知らせもなく再度ホームステイしようかというときに、電話ジャーンで、「あ、もしもし?沙也加ママさんですか?、コメットです。久しぶり。今そちらに向かっているんですけど、ちょっと立ち寄るところがあるので、数日遅れます。では〜」…って、これですむとは思えないですよね(苦笑)。
ですので、コメットさん☆はケースケにほんの数分から1時間程度会っただけで、また再び星のトレイン(星のトレインは、モナコに留置できないし)で鎌倉に向かったものと考えるしかありません(公式HPの「日記」なるものについては、普通の視聴者がアクセスできるとは限らないところに書かれた情報、かつキャラクターのイメージ的統一が、きちんと図られていない、モナコの気候的な関係が不整合、と思えるので、全て無視しています。この方針は、「海洋紀行 アニメ館 コメットさん☆2001」全体で統一的に採用しています)。それはまたケースケに、コメットさん☆がどうやって会いに来たかを、自分で説明しなくてはならないが、そもそも説明でき得ないだろうということからも、裏打ちされます。
さらに見ていきますと…、
3.コメットさん☆の海水浴シーン
…があります。さて、この場所はどこでしょうか。
この場所は、帰り際のカットで、コメットさん☆とケースケが、二人で立っている場所の左奥に、かすかに逗子マリーナと思われる建物?と防波堤が見えること、景太朗パパさんと沙也加ママさんの右手前に、ハマヒルガオの群落と思われるものが映っていること、後ろの階段形状、により、由比ヶ浜海水浴場と思われます(参考までに「メモワール・ド・エトワール」にも記述があります)。ただしここは、中央に川が流れ込んでおり、川を挟んで右より(逗子側)は材木座海岸、左より(稲村ヶ崎側)を由比ヶ浜海岸と言います。
なおコメットさん☆の「不思議な水着」については、ページトップから「ヨタ話」のところも参照して下さい。
4.コメットさん☆のシャワーと、コメットさん☆、ツヨシくん、ネネちゃんの牛乳一気飲み
…が続いて見られます。これは3の海水浴の続きのシーンと見るべきなのでしょうね。ここでの示唆は、星国の人は、紫外線に強いのかもしれないということです。
海岸で一日遊んだら、普通相当日焼けします。ところがコメットさん☆は、湯気の上がるような温度のシャワーを浴びていますよね。通常一日水遊びをしたら、あんな湯気の上がるような温度のシャワーは浴びることはできないと思えます。すると相当日焼け止めを塗ったか、そもそも日焼けなんてしないかのいずれかと思えますが、日焼け止めはかなり効果はあるものの、完全に日焼けを防ぐことはできませんので、おそらくコメットさん☆自身、紫外線には強く、日焼けなんてしないのではないかと思われます。
星のトレインは、宇宙を飛んできますが、あれも相当紫外線どころか、宇宙線各種を浴びまくりなはずです。それでも何ともない様子なところからしても、コメットさん☆をはじめとする「星国人」は、DNA的にその種の細胞損傷に、非常に強いのでしょう。
なお、コメットさん☆と、ツヨシくん、ネネちゃんは、海水浴後のお風呂上がりに、牛乳を飲んでいますが、あれは「ポカリスエット」(商品名)のような、イオン飲料のほうがいいですね。血液のミネラルバランス(電解質の濃度)が、海水浴と入浴による発汗で、かなり崩れていると思うので、全員若いとは言え、電解質を補給したほうが、心臓などに負担をかけません。
最後のカットで映るのは…
5.コメットさん☆の投げキス
…です。コメットさん☆の投げキスは、とてもしぐさがかわいいですね。大人のそれと違って、妙な意味合いがあるわけでなく、本当に可愛らしいです。
しかしあのシーンのカット割りは、第43話(実放送最終回)でコメットさん☆が見せた、彼女に関係したごく身近な人々に送った、「別れのメッセージ」のシーンと、非常によく似ています。
桜が舞う中に一人ラブリンドレスで立つコメットさん☆は、第43話で「みんなありがとう…お別れするのは…」というシーンを彷彿とさせます。が、決定的に違うのは、DVDのそれは、「別れのメッセージ」ではもちろんなくて、今まで、およびこれからも応援してくれるであろう人々(それは作中に登場する人々だけでなく、視聴者である私たちも、ということです)に向けられた、「コメットさん☆なりの愛のメッセージ」なのだと考えられます。そして第43話で私たちが見た「別れ」は、「本当の別れ」ではなくて、再び始まる「コメットさん☆自身のかがやき探し」であったのだということを、あの投げキスの瞬間に、桜の散る背景が急に明るくなって、桜が消え、コメットさん☆が投げるハートに変わることで、象徴しているのではないでしょうか。
それにしても、いきなり口に手を当てるコメットさん☆は、「(急性胃炎で)気分でも悪いのか」と思ってしまいました…(笑)。
…と、DVDの特典映像「コメットさん☆ミュージッククリップ」には、かなり重要な示唆が含まれていました。でもまあ、純粋に楽しんで見れば、それでいいんですけどね。一応こういうことがわかるよ…ということです。