UR都市機構による強制退去の法的措置とその不当性について続き



<UR側主張の「故意または重大な過失による汚損」・「生活の秩序を乱した」は本当か>
 URは、その当家に投函していった書類(前のページを参照)、内容証明郵便(同)、即決和解申立書のいずれにおいても、当家が本件建物を「故意または重大な過失による汚損」し、「改善の催告をしたが改善されなかった」ため、「生活の秩序を乱した」ので、契約を一方的に解除し、強制的に退去させる、としています。
 そのような見方を、URがすることについて、それが事実に基づいているのかどうか、実際に画像を示しながら反証してみたいと思います。仮に誰もが納得する事実によらないで、住民を強制的に退去させたのだとなると、これは重大な問題かつ、本来国の機関が執り行う業務として、義務違反に当たると考えられるからです。
 まずURは、鳩の餌やりによって、建物の「故意または重大な過失による汚損」があった、と言うのですが、財団法人 住宅管理協会 東京南管理センター(UR・フレール西経堂の管理受託先)の職員は、その来訪に当たって、一度も室内を見ていません。よって、当家が建物を「故意に汚損した」と言う根拠は、外見上鳩の排泄物などによる「故意または重大な過失による汚損」があったと見なしたから、であるはずで、それ以外にはあり得ないことになります。つまり、部屋に入っていないので、外から見て「故意または重大な過失による汚損」があると判断した、ということでしょう。
 しかし、それは本当でしょうか。
 室内を見ていない以上、外見から「明らかな汚損がある」と言うには、他の住戸から見て、当家の外見が、有意に汚染されている証拠を提示する必要があります。ですが、それが十分になされたとは、とうてい言えません。というのは、財団法人 住宅管理協会 東京南管理センターの職員は、何度か当家に来ているのですが、一度も具体的に「ここがこのように汚れているので、故意に汚損している」とは言っていないし(音声と動画による記録あり)、各書類にも書かれていないからです。
 それではクイズです。以下の画像のうち、当家はどれでしょう?。「故意または重大な過失による汚損」が本当にあるのなら、すぐ見てわかるはずですね。視読者の方々にも判断していただきましょう。

A 建物の画像です

B 建物の画像です

C 建物の画像です

D 建物の画像です

E 建物の画像です

 いかがでしょうか?。おわかりになりますか?。適当に似たような場所を画像に撮ってみたのですが。

 答えは…Dが当家を含んでいます。画像に加工などは当然いっさい施しておりません(リサイズと不要部分の取り除きのみ)。Bをよく見ますと、最上階の住戸の雨樋部分に、鳩のフンによるものと思われる汚れがあります。しかしこの住戸も、故意でこのようにしているわけでなく、たまたまこの住戸の雨樋部分が、雨が当たりにくいのと、位置的に掃除も困難なためと思われます。いわば住宅建物設計・施工上の瑕疵によるものです。その他A、C、Eにも、経年による外壁汚れがありますが、いずれにせよ、当家の外壁が、有意に汚損している事実は無いことがわかると思います。
 一応南側はどうでしょうか。そちら側も画像を載せることにします。

2007年の建物南側の画像

 これは2007年7月9日撮影です。本件紛争が起こるずっと前の画像。

2011年の建物画像です

 2011年3月14日撮影の画像。本件紛争が発生してからです。当然これらも、画像にリサイズと不要部分のトリミング以外の加工は施しておりません。2007年と2011年で、有意な変化も無く、特にどこかの外壁が汚損しているという様子は、見られないと思われます。

建物の画像です

 こちらのお宅は、雨樋に鳩などの鳥が止まるのを嫌っている様子。しかしそのために雨樋を明らかに「汚損」しています。近くで見てましょう。

建物の画像です

 よほどこれのほうが、ガムテープの使用からして、「故意または重大な過失による汚損」と言えると思いますが、どうでしょうね?。ガムテープを使用すれば、何かを張り付けるのは簡単ですが、経時変化により、のり部分が取れなくなることは、たいていの人が経験のあることであり、これこそ「故意」や「重大な過失」に当たるのではないでしょうか(少なくとも外見上変化が見られない当家が、「故意または重大な過失による汚損」をなしていると言うのであれば)。

 以上により、部屋を見分したわけでもなく、外観上も有意な変化がない当家が、「野鳥の餌付けにより、故意または重大な過失による汚損」をなしたなどと言うのは、全く「でっちあげ」の類と言っても過言ではないと考えられます。当家が提示している上記の証拠について、URはおそらく反論できないでしょう。

 UR側の人間は、一度も室内に入っていないので、一応室内側から撮影した画像も、特に「故意または重大な過失による汚損」と呼べるほどの汚損は、なしていない証拠として、提示したいと思います。

巣が出来ているときの室外機置場画像

 これは巣が出来ていたときに、たまたま掃除をするため撮影した画像です。確かに巣が出来ている時、およびその直後はそれなりに汚れています。2010年6月12日撮影。

掃除をしてきれいになった室外機置場画像

 しかし、掃除をすればご覧の通りに床もピカピカ。14年経っている建物の外壁としては、むしろきれいなほうかと思います。この室外機置場下段には、鳩がすり抜けて入ってしまい、帰れなくなったりしましたので、十分な侵入対策を取っていることもわかるかと思います(網の取り付け、すだれの取り付けによる、スキマふさぎ等)。2010年7月2日撮影。

掃除をしてきれいになった室外機置場画像

 同じ時に撮影した、上段部分の画像です。掃除をすれば、窓枠・壁など、汚損というような汚れは残りません。この手の掃除は、しょっちゅうしていました。そもそもすだれを取り付けたのも、一番重要な意味としては、掃除の時の水が、外に撥ねないようにするためです。鳩の左後ろに見える雨樋も、きれいそのものだと思いますが。撮影同日。

 さて、これらの証拠からして、全くUR側主張の「野鳥の餌付けにより、故意または重大な過失による汚損があった」などというのは、「ありもしないことを、あたかもあったかのように言っている」に過ぎず、言ってみれば「虚偽風説の流布」をしているのであり、当家を「強制退去」させる前提条件のうち、一つがいきなり崩れていると指摘しておきたいと思います。いったいURは、これに対してどう答弁するつもりだったんでしょうか。

携帯電話アンテナの画像です

 当家を含む棟の上に、いつのまにか、何の通告もなく立てられ、その後カラスの絶好の「お休みどころ」になっていた携帯電話のアンテナ(カラスはとんがった先端などが特に好きです。画像の鳥はもちろんハシブトガラス)。この種のアンテナは、電磁波の問題が指摘されており、そこを問題視する人々がいますので、この種のものの設置にあたっては、デリケートな問題を含むと思いますが、これについて何の報告も、通告もありませんでした。こういうことを、住民に何も知らせずに行う行為は、URが言うところの「生活の秩序を乱した」ことにはならないんでしょうかね。
 それと、このアンテナの下は、相当カラスのフンなどで汚れているでしょうね。カラスのフンは、相当な雨が降っても、簡単には落ちませんから、フンから菌がわくとか、アレルゲンになると認識している人からすれば、これこそ「故意または重大な過失による汚損」であり、「生活の秩序を乱す」行為を、UR自らが冒していることになると思うのですが。


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