1ページ目。家賃の額などが書かれていますが、これは「戻り入居」者用のものなので、家賃の軽減措置に基づく家賃額などが書かれています。当家の家賃は、下の142300円×10年、以後通常家賃という流れでした。
2ページ目。ここでのポイントは、第6条の2項です。敷金について書かれていますが、これがあとで疑問の元となります(詳しい検討は本文でします)。
3ページ目。ここでのポイントは、当然当家が「強制退去」の根拠とされた第18条の六と九です(詳しくは本文で検証しています)。
ただ、ここの第17条にも、直接関係ないですが、不思議なことが書かれています。
「第17条 団地内において、小鳥及び魚類以外の動物を飼育してはならない。」
動物というのは、植物、微生物、鉱物など以外で、動作を伴う生物ということではないかと思いますが、法律上は無脊椎動物は含まないとする見解もあります(→http://ikimonotuusin.com/doc/098.htmなど)。しかし、この契約書の文面を厳密に解釈すると、トカゲやカエル、カメなどのは虫類・両生類、カブトムシなどの昆虫類は飼養不可と思われます。それに人類も動物なので、自ら生活能力のない(あるいは低い)人(例えば乳児・幼児・重度の障害のある人・介護が必要な老人など)は、住めないことになってしまいます。それに「小鳥」とは、どこからが小鳥でしょうか。西経堂団地時代には、カラスを飼っている人がいて、それがテレビで紹介されたりしたことは、元ページにも書きました。それで強制退去になったりしていませんでしたから、カラスは小鳥なのでしょう。すると、ますます鳩に餌をやる程度のことは、契約上問題ないようにも見えてしまいますね。こういうところが、契約上の瑕疵ではないかと思うのです。
まとめますと、
1.お父さん・お母さんが、子どもさんへのおみやげに、カブトムシを買ってきた→×
2.学校でオタマジャクシを観察することになり、観察を続けていたらカエルになった→×
3.傷ついたトンビを保護した→×
4.お祭りで「ミドリガメ」を手に入れた。たらいに入れて飼うことにした→×
…3つ目はともかく、ほかの1、2、4は当然家庭で想定しうる事態です。しかし厳密に解釈すると、契約違反になりそうというのでは、およそ人間の社会的生活を阻害しているとしか思えません。こういう「抜け」がないように、もう少し細かく書くべきで、そういうところが「後出しじゃんけん」みたいな、恣意的な運用を招く余地を残しているのであり、国家組織のやることとして失格だと思うわけです。日本住宅公団時代の契約書では、小鳥、魚類、猫以外の動物を飼いたいときは、公団に書面を提出することになっていましたから、問題は少ないと考えられます。
4ページ目(最終ページ)です。ここで問題になったのは、第19条の規定です。退去の14日前までに、契約解除届を出すことになっていますが、当家のように「強制退去」の場合、事務連絡など全てが本来的に代理の弁護士に移管されることになります。そうすると契約解除届は、弁護士に出すことになる気もしますが、届を即日受領させることが不可能なので、結局管理事務所に出向いて書きました。そのあたりの事務的な手続がわからず、結果4日分よけいに家賃を支払うことになりましたが、その辺も全く契約書に触れられていない(まあ、イレギュラーな事態ですから、そのような場合のことまで契約書に明記する義務は無いかもしれませんが)のと、弁護士も何もそれについて指示しないので、困ったことでありました。居もしない場所の家賃を、1日たりとも支払う義務はないはずですから、少なくともどっちにいつ出すのか(弁護士か、管理事務所か)くらいは、教えてくれてもいいと思うのですが。家賃の日割り支払いは、問題なくすんだので、結果オーライなんでしょうけど。